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解雇のはずが自己都合退職になっている!解雇を証明するメリットと対処法

2020年10月20日
  • 不当解雇・退職勧奨
  • 解雇
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解雇のはずが自己都合退職になっている!解雇を証明するメリットと対処法

千葉県では、さまざまな労働関係の民事問題にかかる相談に対して、労働相談員による労働相談や弁護士による特別労働相談を実施しています。

たとえば会社から解雇を言い渡されたにもかかわらず「自己都合退職として処理させてほしい」と言われてしまった場合、一方的な言い分に釈然としない気持ちがある中で、どのように対処するべきなのでしょうか。
「解雇」と「自己都合退職」には大きな違いがあり、安易に自己都合退職を受け入れてしまうと不利益を被ることがあります。

本記事では、解雇であるにも関わらず自己都合退職にさせられそうな方に向けて、解雇を証明するメリット、退職届を求められたときの対処法についてベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

※公開:2020年09月30日、更新:2020年10月20日

1、解雇と自己都合退職の概要

まずは、自己都合退職と解雇の違いは何か、どのような場合に解雇となるのか、概要を押さえておきましょう。

  1. (1)自己都合退職 

    労働者からの雇用契約解除の申し出に基づく退職をいいます。就業規則などでは退職日の1~3か月前に申し出を行うと定めていることが一般的ですが、民法上は退職の2週間前までに申し出ればよいとされています。
    労働者の意志によるものであり、法的な退職理由を求められることはなく、会社が拒否することもできません。

  2. (2)解雇

    会社側からの一方的な雇用契約解除を解雇といい、法律上かなり厳しく制限されています。解雇は一方的に労働者の生活基盤を奪う行為であることから、労働者を保護するべきだからです。
    労働契約法第16条によれば、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要であり、正当な理由のない解雇は権利の濫用にあたるとされています。ごく簡単に言えば、よほどの理由がない限り、会社は労働者を解雇できないわけです。また、正当な理由があって解雇する場合でも、原則として、労働基準法第20条にもとづく30日以上前の解雇予告、または平均賃金30日分以上の解雇予告手当が必要とされています。

  3. (3)会社が解雇できるケースとは?

    解雇の有効性は個別のケースによって判断されますが、解雇が認められうるケースを一部紹介しましょう。

    ・労働者の横領や不法行為
    労働者が会社の秩序を著しく乱した場合、制裁的な解雇をおこなうことができます。具体的には、横領や暴力事件を起こしたようなケースです。あらかじめ就業規則に明記されていること、解雇に相当する程度の行為であることが必要です。

    ・整理解雇
    会社の経営を続けることが困難な状況でおこなわれる解雇で、いわゆるリストラです。「人員削減の必要性」「解雇回避努力」「人選の合意性」「手続きの相当性」の4要件(要素)が判断基準とされています。

    ・労働者の著しい能力不足、業務怠慢など
    一般的にはよくある解雇の理由ですが、単に少し遅刻が多い、業務成績がかんばしくないといった程度では足りません。再三にわたる上司の指示を無視して会社経営に支障を生じさせた、配置転換や実務研修を実施したにもかかわらず改善されなかったなど、相当程度の措置を講じたうえでなければ認められません。

2、解雇を証明するメリット

自己都合ではなく会社都合の解雇であることを主張した方がよい理由として、退職後の優遇措置があげられます。
主なメリットを確認しましょう。

  1. (1)基本手当(失業保険)の優遇

    もっとも大きなメリットは雇用保険から受給できる基本手当(いわゆる失業保険)の優遇措置です。退職後の生活を守ることにつながりますので、非常に重要なポイントと言えるでしょう。
    主な点を下記にあげます。

    ・受給条件の違い
    受給条件のひとつとして12か月の被保険者期間が必要ですが、会社都合の解雇であれば6か月間に短縮されます。
    何年も正社員で働いていた方などはあまり問題になりませんが、新卒で就職し被保険者期間が短い方や、雇用保険対象外のパートから正社員になった経緯がある方などは関係してきます。

    ・給付制限期間
    自己都合の場合、ハローワークで手続きを行った後、7日の待機期間と3か月の給付制限(※)がとられます。つまり、どんなに早急に手続きをしても、実際に手当をもらえるのは退職から4か月目以降になるわけです。
    (※)令和2年10月1日以降に離職した方は、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月となります。

    この点、会社都合の場合は3か月の給付制限期間がありませんので、早い段階で手当を受けることができます。

    ・給付期間
    年齢と被保険者期間に応じて、自己都合の場合は90日~150日の範囲で給付されます。一方、会社都合の場合は「特定受給資格者」として90日~330日の範囲で給付されます。
    たとえば、45歳以上60歳未満で、かつ20年以上の被保険者期間がある方は、自己都合退職だと150日の給付期間ですが、会社都合退職だと330日になります。
    その差は180日にもなりますので、退職理由がいかに重要か、お分かりいただけるでしょう。

  2. (2)国民健康保険料の軽減措置

    退職後に国民健康保険に加入する場合、失業中の身では保険料の負担が重くのしかかります。そのため、各自治体では失業者などを対象に軽減措置をおこなっています。措置の内容や条件は自治体によって異なります。
    千葉県の場合は、解雇や倒産などの「非自発的失業者」を対象とした軽減措置があり、通常の失業者よりも条件が緩くなっています。
    所得を30/100として保険料が算定されますので、負担がかなり軽減されるでしょう。

  3. (3)そのほかのメリット

    会社によっては、解雇者に対して退職金の額を増額するケースがあります。退職金については会社ごとにルールが異なりますので、退職金規則を確認する、退職金担当者に聞くなどするとよいでしょう。
    そのほか、会社都合かどうかは関係ありませんが、経済的に保険料納付が困難な場合には国民年金保険料にも免除や猶予制度があります。住民税についても、生活困窮者に対する減免措置があります。

3、解雇なのに自己都合による退職届を求められたときの対処法

解雇であるにもかかわらず、自己都合による退職届の提出を求められることがありますが、どのように対処すればよいのでしょうか。

  1. (1)退職届を提出する必要はない

    まずは、退職届という書類は法律上、提出義務がないものだと知っておきましょう。退職の意志表示は口頭でも足りるとされており、そもそも退職届を提出する必要はありません。
    しかし、「退職届を出すことは社会人として常識だろう」「手続き上必要だ」などと、もっともらしいことを言われ、渋々ながらも提出してしまう方が少なくありません。
    「一身上の都合により」と書かれた退職届を提出してしまうと、まさに自己都合退職の証拠とされてしまい、ご自身に不利に働くことがありますので注意が必要です。

  2. (2)労基署へ相談

    どうすればよいのか分からない場合でも、その場で退職届を提出したり「辞めます」と言ったりすることは避け、いったん保留にしましょう。身近な相談先としては労働基準監督署や労働局があります。
    労働者個人の相談には応じてくれないイメージがありますが、アドバイスをしてくれるほか、必要があれば会社への確認や指導をおこなってくれます。
    会社が退職届の提出を強要することはできませんが、万が一脅しや暴力を受けるようなことがあれば警察に通報することも考えられます。

  3. (3)弁護士へ相談

    弁護士へ相談することも良策です。
    まずは、弁護士が間に入ることで会社の態度が軟化し、解雇を取り下げる、解雇を認めるといった点に期待できます。
    弁護士を介してもなお、会社が不当な理由で自己都合退職を主張する場合は、労働審判や労働裁判などの法的手段を用いることもできます。
    弁護士の場合は一般的なアドバイスに終始せず、具体的な活動をおこなってくれる点が大きなメリットです。

4、離職票に勝手に自己都合と記載されていた場合

会社都合で辞めたはずなのに、送られてきた離職票には「自己都合」と書かれてあった場合、その時点で会社に是正を求めることが考えられます。
しかし、退職した会社に連絡を取りたくないと思う方もいらっしゃるでしょう。
そのときはハローワークに対して審査請求(異議申し立て)をする方法があります。
異議が認められるためには、単に「解雇なのに自己都合にされた」と口頭で述べるのではなく、解雇理由証明書や退職勧奨の際の記録、録音などの証拠が重要です。
また、解雇とは認められなくても退職にあたりやむを得ない事情があったと認められれば、前述した失業保険の優遇措置を受けることができます。いずれにしても審査請求をする価値はあるでしょう。

5、まとめ

今回は、解雇を証明するメリットや対処法を中心に解説しました。解雇であるにもかかわらず、会社が自己都合を求める場合は、会社の保身などの理由が多いのかもしれません。退職届を求められた場合は慎重な判断が必要となります。
しかし、労働者という立場上、会社への対処が難しい局面もあるでしょう。そのときは、法律に詳しい弁護士へ相談されるとよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスでもご相談をお受けします。労働者の皆さんの視点に立って力を尽くしますので、ぜひご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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