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相続放棄したのに固定資産税の納税通知が届いた場合の対処法は?

2021年08月26日
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相続放棄したのに固定資産税の納税通知が届いた場合の対処法は?

千葉県のデータによると、千葉県の2021年1月1日を基準日とする全用途平均の地価公示価格は、前年同日比で0.3%の上昇となりました。

相続放棄をして、相続債務から解放されたかと思いきや、自治体から「相続不動産」に係る固定資産税の納付通知が届くケースがあります。

相続放棄をしたのに、固定資産税を納付するのはおかしいと感じる方もいらっしゃるでしょうが、安易に滞納すると財産の差し押さえを受けてしまうので要注意です。税法のルールをきちんと理解して、必要に応じて弁護士・税理士に相談しながら正確に対応してください。

この記事では、相続放棄をしたにもかかわらず、相続不動産に係る固定資産税の納税通知が届いた場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「令和3年地価公示(千葉県)の概要」(千葉県))

1、固定資産税とは?

固定資産税は、相続によって初めて不動産を扱うことになった方にとってはなじみがないかもしれません。

まずは、固定資産税の概要・基本的な仕組みを理解しておきましょう。

  1. (1)「固定資産」に対して課される地方税

    固定資産税は、固定資産に対して市町村(東京23区では東京都)によって課される地方税です(地方税法第341条以下)。

    「固定資産」とは、土地・家屋・償却資産(=一定の事業用資産)を総称するものとされています(同条第1号)
    個人の方の場合は、基本的に不動産に対して固定資産税が課されると理解しておけばよいでしょう。

  2. (2)固定資産税の納税義務者は?

    固定資産税の納税義務者は、固定資産の所有者です(地方税法第343条第1項)。

    固定資産税の課税においては、「台帳課税主義」が採用されています。
    台帳課税主義とは、実際の所有者が誰であるかにかかわらず、登記簿上の所有者に対して固定資産税を課すことをいいます
    台帳課税主義が採用されているのは、課税業務を迅速化・円滑化するために、所有者を判断するコストをできる限り抑えることを目的としています。

    台帳課税主義によれば、相続登記未了(登記名義が被相続人のまま)の土地・家屋については、登記簿記載の内容に従い、被相続人に対して固定資産税が課されるのが大原則です。
    ただし、被相続人は亡くなっているので、その法定相続人に対して固定資産税を課すのが、台帳課税主義から自然に導かれる結論となります。
    固定資産の賦課期日は1月1日であり(同法第359条)、毎年1月1日時点で登記簿上の所有者となっている人が、固定資産税の納税義務を負います。

  3. (3)固定資産税の税率は?

    固定資産税の金額は、固定資産税評価額に税率をかけることで計算されます。

    固定資産税の「標準税率」は、法律上通常の税率として、「1.4%」と決められています。最終的な税率は、各市町村が決めることとされていますので、市町村によっては、1.4%より高い場合もあります。

  4. (4)固定資産税はいつまでに納付すべきか?

    固定資産税の納付タイミングは、地方税法によると納税時期は、原則4月、7月、12月、翌年2月とされていますが、各自治体の事情に応じて他の月を納期とすることができ、例えば東京23区の納期は、6月、9月、12月、翌年2月となっています。

    なお、納税者が希望する場合には、最初の納期に一括で支払うことも可能です。

2、相続放棄した不動産に係る固定資産税の納税通知が来る理由

相続放棄をした場合、不動産を相続しないことになりますから、本来であれば固定資産税を負担する必要はないはずです。

しかし、相続放棄をしたにもかかわらず、固定資産税を負担しなければならないケースがあります。
「相続放棄をしたのだから、納税通知は無視してよい」という考え方は危険なので、以下の各点を踏まえて適切に対応してください。

  1. (1)登記簿上の所有者が亡くなっている場合の取り扱い

    前述のとおり、固定資産税の納税義務者は、固定資産の毎年1月1日時点における登記簿上の所有者です。
    しかし、土地・家屋の登記簿上の所有者が死亡している場合には、当該土地・家屋を現に所有している者に対して固定資産税が課税されます(地方税法第343条第2項)。

  2. (2)納税義務者を自治体に届け出ない場合、相続人が現所有者と推定される

    登記簿に載っていない土地・家屋の現所有者については、市町村が独自に調査を行って把握します。

    登記簿上の所有者について、役所に死亡届が提出されていれば、その人について相続が発生したことがわかります。
    この場合、市町村は法定相続人が土地・家屋を相続したと推定しますので、法定相続人に対して固定資産税の納税通知を発送するのです。

    なお、被相続人が亡くなった後、市町村宛てに「相続人代表者指定届」を提出すれば、固定資産税の納付義務を代表者に一本化できます。

  3. (3)相続放棄をしたのに固定資産税を支払う必要がある場合

    次の事例で考えてみましょう。

    【事例】
    Aさんには、Bさん及びCさんという二人の子がいました。

    Aさんが亡くなられたあと、Aさんが所有していた不動産について、BさんとCさんとの間で遺産分割協議がまとまらず、Aさん名義のままとなっていました。

    この不動産の固定資産税は、Aさんと同居していたBさんが相続人代表者として納付していました。

    Cさんは、Bさんと疎遠になっていたところ、11月30日、市役所から固定資産税の請求書が届きました。Bさんが3か月前に亡くなり、滞納していた固定資産税があるそうです。

    この場合、Cさんは、市役所から通知が届いた11月30日から「3か月以内」に家庭裁判所に相続放棄の申述をすれば、「初めから相続人ではなかったこと」(民法939条)になるのですから、固定資産税の納税義務から免れることができるはずです。

    しかし、固定資産税の納税義務者は、前記のとおり、「1月1日時点で課税台帳に登録されている者」となるので、相続放棄の申述の受理が年を越してしまうと、Cさんは、固定資産税の納税義務者となってしまいます。

    「市町村が独自に法定相続人を土地・家屋の所有者と推定したとしても、実際には相続放棄をしたのだから、固定資産税が課されるのは間違っている」

    このような考え方も成り立ちそうですが、残念ながら、上記のような事例ですと固定資産税の納税通知が来た場合には、納税義務を免れることはできません。

3、固定資産税の納税通知が来た場合の対処法は?

上記事例のとおり相続放棄が年を越してしまったため、市町村から固定資産税の納税通知が届いた場合には、無視せずに以下の手順に従って対応しましょう。

  1. (1)いったん納税通知どおりに固定資産税を納付する

    上記事例のとおり、法定相続人の方に固定資産税の納税通知が届いた場合には、たとえ相続放棄をした場合であっても、固定資産税を納付しなければなりません

    そのため、いったん市町村の指示に従い、固定資産税を納付しましょう。
    納付を怠った場合、財産の差し押さえに至るケースもあるので要注意です。

  2. (2)他の相続人に対して求償を行う

    相続放棄をした場合、土地・家屋を相続するのは他の相続人等ですので、相続放棄をした方自身は固定資産税を負担する必要はありません。

    もし相続放棄をしたにもかかわらず、納税通知に従って固定資産税を肩代わりした場合には、土地・家屋を承継した者に対して、固定資産税相当額を求償することが可能です。
    もっとも、こうしたケースでは、相続人全員が相続放棄を行う可能性が高いので、後で回収するのは現実的に難しいかもしれません。

  3. (3)課税が間違っている場合には不服申し立ても可能

    法定相続人が固定資産税の納付義務を負うのは、その年の1月1日時点において、土地・家屋の登記名義が被相続人になっている場合に限ります。

    万が一、上記の時点で違う人が登記名義人であったにもかかわらず、法定相続人に固定資産税の納税通知が届いた場合には、以下の手続きによって不服申し立てを行いましょう。

    ①市町村長に対する審査請求
    課税処分を行った市町村の部署の上位機関である市町村長に対して、納税義務者の認定について審査してもらうよう請求します。
    審査請求の期間は、納税通知書を受け取った日の翌日から起算して3か月以内です
    ②取消訴訟
    裁判所に対して、課税処分の違法性を主張し、処分を取り消すことを求めます。
    取消訴訟の出訴期間は、原則として、審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内です


    不服申し立ては込み入った手続きになるので、弁護士に相談して対応することをおすすめします。

4、被相続人が滞納した固定資産税を支払う必要はあるか?

最後に、被相続人が死亡前に固定資産税を滞納していた場合、法定相続人が代わりに納税義務を負うかどうかについても確認しておきましょう。

  1. (1)固定資産税の納税義務は相続の対象になる

    被相続人が死亡時に有していた一切の権利義務は、相続の対象になります(民法第896条)。

    したがって、固定資産税の納付義務も相続の対象となるため、法定相続人が固定資産税を納付しなければなりません。

  2. (2)相続放棄をすれば、固定資産税の納税義務を負わずに済む

    ただし、相続放棄をした法定相続人については、被相続人が死亡前に滞納していた固定資産税を納付する必要はありません

    この場合、固定資産税の納付義務は相続の対象であるに過ぎません。
    したがって、法定相続人が相続権を放棄した以上は、固定資産税の納付義務を負担する必要はないのです。

5、まとめ

相続放棄をした場合でも、登記や役所への届出状況によっては、固定資産税の納税通知が届くケースがあります。
固定資産税の納税通知が届いたら、その通知を放置せず、よく状況を確認しましょう。

相続放棄後に届いた固定資産税の納税通知への対処法に迷う場合、その他遺産分割や相続税などについての懸念点がある場合には、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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