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慰謝料を一括で払ってもらうことは可能? 分割払いの場合の注意点は?

2022年05月02日
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慰謝料を一括で払ってもらうことは可能? 分割払いの場合の注意点は?

千葉市が公表している統計資料によると、令和2年度の千葉市内における離婚件数は、1438件でした。また、離婚率は人口千人につき1.46でしたので、全国の離婚率が1.57であることを考慮すると、千葉県の離婚率はやや低いといえます。

離婚をするとき、相手に責任がある場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。しかし、慰謝料の支払い方法を一括にするか分割にするかについて意見が一致せずに、もめることがあるのです。

慰謝料の支払いを受ける側としては「一括で支払ってもらいたい」と考えることが多いでしょう。しかし、分割払いにすることを認めざるを得ない場合もあります。分割払いになってしまった場合には、将来に亘って相手に慰謝料をきちんと支払ってもらうために注意すべき点が、いくつか存在します。

本コラムでは、慰謝料を一括で支払ってもらう方法や分割払いになった場合の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、慰謝料は一括・分割どちらでも可能

一般的に、「慰謝料の支払い方法は一括払いの方が望ましい」といわれています。
以下では、慰謝料の支払い方法に関する原則や一括払いのほうが望ましい理由について、解説します。

  1. (1)慰謝料の支払いは一括払いが原則

    配偶者が不貞行為(不倫)をした場合には、不倫慰謝料を請求することができます。
    不倫慰謝料は、一括で支払うことが原則とされています。

    しかし、不倫慰謝料は金額が50万円の場合もあれば300万円になる場合もありますので、配偶者や不倫相手の資力によっては、一括での支払いが難しくなる可能性もあります
    このようなときには、当事者同士が合意をすれば、例外的に分割払いとすることもできるのです。
    そのため、慰謝料請求をする際には、まずは、相手に対して一括払いを求めるようにしましょう。そして、どうしても一括払いが難しいと言われた場合には、分割払いを検討するようにしましょう。

  2. (2)一括払いが望ましい理由

    離婚慰謝料は一括払いが望ましいといわれる理由として、以下のようなものがあります。

    ① 慰謝料の支払いが滞るリスクを回避できる
    慰謝料の支払いを一括払いにすれば、1回の支払いですべて終了するため、将来支払いが滞るというリスクはありません。
    これに対して、慰謝料の支払いを分割払いにしてしまうと、途中から相手に資力がなくなったり、または相手に支払う気がなくなったりして、支払いが滞るリスクが生じます
    離婚後は元配偶者と連絡をとることも少なくなりますので、支払いが滞ったとしても相手の連絡先や住所もわからず、最悪の場合には泣き寝入りしなければならない可能性もあります。

    また、相手と連絡がとれたとしても、相手が任意に支払いに応じなければ、裁判や強制執行といった法的手段をとらなければならないという負担が生じてしまうのです。

    ② 相手との縁を切ることができる
    慰謝料の支払いを一括払いにすると、相手からお金を受け取ってしまえば、それ以降は縁を切ってしまうことも可能です。
    しかし、慰謝料の支払いを分割払いにしてしまうと、慰謝料は支払われつづける限り、長期間相手との関係性が続いてしまいます。慰謝料の支払いがあるかどうかを毎月確認しなければなりませんし、支払いがない場合には催促の連絡をしなければなりません。

    不倫の慰謝料の場合には、配偶者やその不倫相手が相手方になります。
    不倫によって不快な思いをした相手との関係が長期間継続することは、精神的にも大きな負担となるでしょう。

2、慰謝料を一括で支払ってもらうためには?

配偶者や不倫相手が慰謝料の一括払いをちゅうちょしているときにとれる対応について、解説します。

  1. (1)慰謝料の金額を減額する

    慰謝料を一括で支払ってもらうことは、慰謝料請求をする側にとって大きなメリットとなります。
    後で慰謝料の支払いが滞るリスクを考えると、慰謝料の金額にこだわって分割払いとするよりも、多少は慰謝料の金額を減額してでも一括払いに応じてもらったほうがよい、という場合もあるでしょう。

    慰謝料請求を受ける債務者の側でも慰謝料を減額してもらえるということは、慰謝料を支払う側にとってもメリットになります。
    金額に納得がいくようであれば、慰謝料の金額を減額することを条件として一括払いとすることを提案してみるとよいでしょう。

  2. (2)親からの立て替えや借り入れを提案する

    相手側が慰謝料の一括払いを渋る理由として、本人に一括で支払うだけの資力がないことが挙げられます。
    そのような場合には、相手の親から慰謝料を立て替えてもらうことや金融機関などから借り入れをすることを提案してみるとよいでしょう。

    慰謝料の支払いを受ける側としては、お金がどこから出ているものであるかは特に気にならないはずです。
    慰謝料を支払う側としても、トラブルのあった相手に分割払いをしていくよりも親や金融機関に返済をしていた方が、気が楽ということもあります。

    もっとも、不貞をしたのは配偶者や不倫相手ですので、何の責任もないその親に対して支払いを強制することはできません。また、金融機関からの借り入れも、相手に強制することはできません。

  3. (3)裁判を起こす

    配偶者や不倫相手がどうしても一括払いに応じてくれないという場合には、慰謝料の支払いを求めるための裁判を起こすことも可能です
    裁判所が慰謝料の支払いを認める判決を言い渡し、それが確定した場合には、支払いを命じられた相手方は、慰謝料を一括で支払う義務が生じます。
    さらに、判決確定後も慰謝料を一括で支払いを行わない場合には、債務者の預貯金や給料などを差し押さえることによって強制的に回収することができるのです。

    ただし、裁判を起こして判決を得るまでには、相当な期間を要することになります。そのため、判決前に相手の資力が悪化して支払いが困難になる場合もあるのです。
    また、強制執行をする場合には、相手に財産があることが前提となります。相手の資力が悪化して差し押さえるべき財産がなくなってしまうと、たとえ裁判で勝ったとしても泣き寝入りしなければならないおそれもある点に注意してください。

3、慰謝料を分割で支払ってもらう場合の注意点

慰謝料の一括払いに応じてくれない場合には、慰謝料の分割払いを検討することになります。
以下では、慰謝料を分割で支払ってもらうことになった場合の注意点を解説します。

  1. (1)支払いに関するルールを細かく設定する

    慰謝料を分割払いにする場合には、支払いに関するルールを細かく設定しておくことで、将来のトラブルを防止することができます。
    例えば、分割払いをする場合には、以下の条項を定めることになるのです。

    • 毎月の支払金額
    • 支払期間
    • 支払方法
    • 支払期日


    そのほかにも、支払期日に返済が遅れた場合のペナルティーとして遅延損害金を定めることによって、支払いの遅延を抑止することができます。
    また、「支払いが滞った場合には、分割払いではなく一括で残金を直ちに支払う」という「期限の利益喪失条項」を設けておくことも、支払いの遅延や滞納を抑止するうえで有効な手段となります。

  2. (2)一時金としてまとまったお金を受け取る

    長期の分割払いになると、それだけ支払いの遅延や滞納のリスクが高くなります。

    一括払いをする資力がなかったとしてもある程度まとまったお金を支払うことができる場合には、初回の支払いにできるだけ多額のお金を支払ってもらうことによって、分割払いの期間をできるだけ短くするべきです。
    一時金として最初にできるだけ多額のお金を受け取っておくことによって、相手が支払いを滞納した場合にも滞納額を少なくすることができるからです。

  3. (3)相手の連絡先や勤務先を把握する

    分割払いのケースで相手が支払いを滞納した場合には、支払いを催促する連絡をしなければならないため、相手の連絡先を把握することが重要になります
    支払いが長期に及ぶ場合には途中で住所が変わったり、電話番号が変わったりすることもあるため、「連絡先の変更が生じた場合には、報告を義務付ける」という条項を盛り込んでおくことをおすすめします。

    また、支払いを滞納した場合には、最終的には強制執行によって未払いの慰謝料を回収することになります。その際には、相手の勤務先に関する情報を知っていればスムーズに強制執行をすることが可能になります。
    したがって、合意当時の勤務先を把握するのはもちろんのこと、転職などによって勤務先が変わった場合には、その報告も義務付けておくとよいでしょう。

  4. (4)連帯保証人を付ける

    連帯保証人を付けることによって、本人が支払いを行った場合に連帯保証人に請求することができ、慰謝料が回収不能になるリスクを軽減することができます。
    ただし、連帯保証人を付けることを、相手に強制することはできません。
    また、連帯保証人に指名された人から連帯保証人になることの同意を得られない場合にも、その人を連帯保証人とすることはできません。

  5. (5)公正証書を作成する

    公正証書とは、公証役場の公証人が作成する公文書です。
    公正証書と当事者間で作成する示談書との大きな違いは、「裁判手続きを経ることなく、強制執行をすることができるかどうか」という点です。

    当事者間で作成する示談書では、相手が支払いを怠った場合には、まずは裁判を起こして確定判決を得てからでなければ基本的に強制執行をすることができません。
    一方、公正証書では、「債務の支払を遅滞したときは直ちに強制執行に服する」という旨の強制執行を認諾する文言を記載した条項を盛り込んでおけば、裁判手続きをスキップして強制執行をすることができます。そのため、裁判に要する時間と費用を節約することができます。
    したがって、慰謝料の支払いに関する合意ができた場合には、その内容を公正証書にしておくことをおすすめします。

4、慰謝料の支払いが滞った場合は?

慰謝料の支払いが滞った場合には、以下のような方法によって対応するのが一般的です。

  1. (1)支払いを催促する

    慰謝料の支払いが滞った場合には、まずは、相手に連絡をして支払いを催促するようにしましょう。単に期限を忘れていたという場合には、支払いの催促によってすぐに支払いに応じてくれるはずです。
    一方で、経済状況が悪化して支払いが難しくなった場合やそもそも支払う気が亡くなったという場合には、本人から催促しただけでは支払いに応じてもらえない場合があります。このようなケースでは、弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。

    弁護士が代理人として支払いの催促をすることによって、相手に対してこちらが本気であることが伝わり、支払ってもらえる可能性が高くなります
    また、経済状況が悪化したという場合には、今後の支払い条件の変更などの交渉によって、支払いを再開してもらえる可能性もあるのです。

  2. (2)民事調停を申し立てる

    支払いの催促だけでは解決しない場合には、簡易裁判所に民事調停を申し立てるという方法もあります。民事調停は、裁判とは違って話し合いにより紛争を解決する手続きになりますので、お互いが納得できる円満な解決を図ることが期待できます。
    既に合意した慰謝料の支払いが滞っているという場合には、調停委員から合意内容に従って義務を履行するように説得がなされるでしょう。それが難しいという場合には、支払い条件の変更などによって慰謝料の支払いができるように、調整をしてもらうことができます。

    いきなり裁判を起こすことも可能ですが、話し合いによる解決の余地が残されているようであれば、民事調停を利用することをおすすめします。
    また、弁護士に依頼をすることによって、調停の申し立てから調停期日の同行まで一連の手続きをすべてサポートしてもらうことができます

  3. (3)裁判を起こす

    話し合いによる解決が困難な場合には、未払いの慰謝料の支払いを求めて、最終的に裁判を起こすことになります。
    慰謝料の支払いを既に合意しており、その内容が書面に残されているような場合には、それを証拠として提出することで慰謝料の支払い義務を判断してもらうことができます。
    一方で、口頭での合意しかない場合には、不貞行為があったことを証拠によって立証していかなければならず、不慣れな方にとっては難しい作業となります。

    裁判手続きは非常に専門的であるため、裁判を起こす場合には、弁護士に依頼して行うことをおすすめします

  4. (4)強制執行をする

    慰謝料の合意が、強制執行を認諾する文言を付した公正証書によってなされた場合や、裁判を起こして慰謝料の支払いを認める確定判決を得た場合には、強制執行の申し立てをして未払いの慰謝料を回収することになります。
    強制執行をするためには、債権者の側で債務者の財産を特定して申し立てる必要があります

    債務者の財産を把握していないという場合には、財産調査が必要になります。弁護士には、財産調査も依頼することができます。

5、まとめ

慰謝料は、一括払いが原則ですが、場合によっては分割払いになってしまうこともあります。分割払いになってしまった場合には、細かく条項を設定しておくなどの対応をしておかなければ、支払いの遅延や滞納といったリスクが生じてしまいます。
弁護士に相談をすることで、適切な条項を設定したり相手が支払いをちゅうちょしている場合には法廷な手段を実施したりするなど、慰謝料を回収するための実効性のある対応を行いやすくなります。

千葉県内で離婚や慰謝料・養育費に関してお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスにまで、お気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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