ドローンを飛ばしたら逮捕されることも? 違法になるケースを解説

2020年06月23日
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ドローンを飛ばしたら逮捕されることも? 違法になるケースを解説

近年、ドローンがさまざまなシーンで活用されて注目を集めています。千葉県君津市では、橋の点検にドローンを活用して、職員が自ら点検することによって5年間で5000万円の費用削減を見込んでいると報道されています。

民間だけにとどまらず公的機関でもドローンが浸透し、必要不可欠なツールとして受け入れられていることがわかります。しかし、ドローンを飛ばす際、状況によっては違法になり取り締まりを受けてしまう可能性があるので注意が必要です。本記事ではドローンを飛ばして逮捕されるケースを、千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、ドローンを自由に飛ばしてはダメな理由

ドローンは飛行させる場所などによってさまざまな法律の規制が整備されています。
ドローンを飛ばす際に留意しなければならない代表的な法律がこちらです。

  • 航空法
  • 小型無人機等禁止法
  • 電波法
  • 道路交通法
  • 地方自治体の条例
  • 民法
  • 河川法等


ドローンは自治体や場所に応じて、飛ばすこと自体を禁止していることもあれば、飛ばす際には許可が必要なケースもあります。

上記の法律では、ドローンの飛ばし方や、飛ばしてはならない場所、飛ばす際の注意点や必要な許可などを定めていますので、飛ばす前に入念に確認しなければなりません。確認せずに飛ばしてしまうと上記の法律に違反してしまい、逮捕されてしまう可能性があります。

2、ドローンを飛ばして取り締まられる可能性があるケースと罰則

では具体的にドローンを自由に飛ばして取り締まられる可能性がある行為を確認していきましょう。

  1. (1)航空法違反

    ドローンは、航空法における「無人航空機」に該当する可能性があります。
    無人航空機については、以下のように定義して規制の対象としています。

    航空法 第2条22項
    この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く)をいう。

    航空法では以下のような行為が禁じられています。

    飛行禁止区域で飛ばす(第132条関係)
    航空法では、空港の周辺の空域や人口集中地区の上空、150m以上の高さでの無人航空機の飛行を禁じています。飛ばしたい場合は、国土交通大臣の許可が必要です。違反した場合は、50万円以下の罰金に処される可能性があります。

    空港周辺とは、新千歳空港・成田国際空港・東京国際空港・中部国際空港・大阪国際空港・関西国際空港・福岡空港・那覇空港などです。人口集中地区とは東京や名古屋大阪、福岡仙台等の大都市圏です。詳しくは国土交通省のホームページを確認してください。

    アルコールを摂取した状態で飛ばす(第132条の2関係)
    航空法では飲酒して無人航空機を飛行させる行為を禁じています。違反すると3年以下の懲役または30万円の罰金に処される可能性があります。

    ただし、ドローンや無線操縦機(有名なものとしては商標名「ラジコン」など)であっても、機体本体とバッテリー重量の合計200グラム未満のものは、無人航空機ではなく「模型航空機」に分類されます。模型航空機に該当するドローンの場合は、無人航空機の飛行に関するルールは適用されません。

  2. (2)小型無人機等禁止法

    小型無人機等禁止法の正式名称は、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」といいます。

    具体的な例として、以下の施設の周辺におけるドローンの飛行が禁止されています。

    • 衆議院
    • 参議院
    • 内閣官房
    • 内閣府
    • 国家公安委員会
    • 総務省
    • 法務省
    • 外務省
    • 財務省
    • 文部科学省
    • 厚生労働省
    • 農林水産省
    • 経済産業省
    • 国土交通省
    • 環境省
    • 防衛省
    • 最高裁判所
    • 宮内庁
    • 警視庁
    • 京都府警察
    • 大阪府警察
    • 兵庫県警
    • 各原子力発電所および最寄りの警察署


    これらの地域の上空でドローンを飛行させると1年以下の罰金もしくは50万円以下の罰金に処される可能性があるので、注意が必要です。

  3. (3)電波法

    ドローンを飛ばす際には、電波を飛ばしますので電波法を遵守しなければなりません。電波法では、無線通信の規模や周波数帯などによって、無線局の免許が必要になると定めています。

    ドローンを飛ばす際に免許が必要となる周波数帯については総務省のホームページなどで確認できますので詳しくは、こちらでご確認ください。
    電波法に違反すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科される可能性があります。

  4. (4)道路交通法や各種条例、河川法など

    道路交通法においては、道路を利用する方法によっては管轄の警察署の許可が必要となりますので、道路でドローンを飛ばす場合は警察署で許可が必要か確認をしなければなりません。

    また、各自治体では、公園などでもドローンの飛行を禁じていることが少なくありません。
    航空法での規制の対象外であっても、これらの法律に違反してしまう可能性がありますので、道路や公園、河川などで飛ばす場合は、その都度確認する必要があります。

3、ドローンが原因で逮捕されることはある?

  1. (1)悪質性が低い場合は、在宅事件扱いになる場合が多い

    ドローンで違法行為をしてしまい逮捕される可能性は、他の犯罪と比較すると低いと考えられます。ドローンに武器を装着して攻撃しようとした、などの悪質性がなければ「在宅事件」として取り扱われる可能性が高いでしょう。

    在宅事件とは身柄の拘束をせずに取り調べや捜査を行うことをいいます。警察に身柄が拘束されないため、ほぼ通常通り通勤や通学が可能です。

  2. (2)悪質性が高い場合は、逮捕されることもある

    令和元年5月、東京都の男性がドローンを航空法違反の疑いで逮捕されたという報道がありました。警察による職務質問の際、本名を記載しなかったため有印私文書偽造・同行使の容疑がかけられたことも原因であると思われます。

    そもそも、逮捕とは、証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に行われる措置です。
    逮捕されると身柄が拘束され、本人の社会生活への影響が大きいため、すべての事件で逮捕できるわけではありません。ドローンでの違法行為は、悪質性が高い例は少ないため、逮捕されないケースが多い傾向にあります。

    しかし、この男性のように捜査に協力しない、証拠隠滅をはかろうとしているなど、警察に非協力的と判断されると逮捕される可能性が高まりますので、注意しましょう。
    禁じられた場所でドローンを飛ばした、などの心当たりがある方は、警察から問い合わせがあった場合は、弁護士に相談した上で誠意を持って対応することが大切です。

4、逮捕される場合の流れ

万が一逮捕された場合はおおよそ以下の流れで手続きが進みます。

  1. ①最長72時間身柄が拘束されて、警察の捜査官および検察官の取り調べを受ける。
  2. ②検察官が勾留するかどうかを判断する。
  3. ③勾留された場合はさらに10日間、必要に応じてさらに10日間身柄が拘束される。
  4. ④勾留期間が終わるまでに起訴・不起訴が判断される(処分が決まらずに釈放されることもある)。
  5. ⑤起訴されたら刑事裁判が開かれる(略式手続は除く)
  6. ⑥不起訴になったら無罪釈放

逮捕されると、逮捕後最長23日間、そして起訴が決定したら刑事裁判が終了するまで勾留が続くことがあります。勾留が続ければ自宅に帰ることも出勤することもできませんので、ドローンでの違法行為によって、社会生活が破綻してしまうことになりかねません。

5、逮捕される危険性がある時は弁護士に相談を

飛行禁止区域でドローンを飛ばした、人混みでドローンを飛ばしたなど、ドローンに関する各種法律に違反する飛ばし方をして通報されたり、警察から連絡がきたりした場合は、弁護士への相談をおすすめします。
ドローンで逮捕・書類送検される事例の中には、住民などからの通報がきっかけになっているものが少なくありません。

先述した通り、万が一逮捕されてしまうと長期間の身柄拘束が続き会社や学校への影響が甚大です。逮捕される前に弁護士に相談することで、逮捕による身柄拘束を回避できる可能性があります。万が一逮捕されても、早くに動くことで勾留回避の可能性が高まります。

逮捕された場合の身柄拘束は、最大72時間ですがその後勾留されてしまうとさらに最大20日間の身柄拘束が続きます。しかし、勾留が決定する逮捕後72時間以内に弁護士に依頼して、勾留が必要ないことを主張するなどの弁護活動によって、勾留される確率が低くなるでしょう。

ドローンを飛ばしてしまったことを弁護士に相談する場合は、ドローンの機種や、飛ばした場所などをあらかじめメモをしておくと話がスムーズに進みます。

6、まとめ

ドローンを飛ばす際は、航空法や電波法を始めさまざまな法律に気を配らなければなりません。場合によっては逮捕されてしまう可能性があります。
飛行場所だけでなく、飛行させる高さ、ドローンの周波数なども規制の対象となっています。万が一、飛行禁止区域でドローンを飛ばした等の違法行為をしてしまった場合は、知らない間に通報されている可能性もあるため、注意が必要です。

ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスでは、ドローンを飛ばしたことで警察から出頭要請が来ている方のご相談も広く受付けております。まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています