AirDrop痴漢をしてしまって後悔しているが、もし捕まったらどんな罪に問われるの?

2019年03月14日
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AirDrop痴漢をしてしまって後悔しているが、もし捕まったらどんな罪に問われるの?

千葉市内でも多数の痴漢事件が起きていて、日々検挙されているように、電車での痴漢事件は、なかなか後を絶たない犯罪となっています。最近は痴漢行為を指摘され、線路に逃げるという危険行為もニュースで、よく見かけるようになりました。

そのような痴漢事件の中でも、最近新手の手法として警戒されているものに「AirDrop痴漢」というものがあります。従来の痴漢とは異なる新たな性的いやがらせ行為といえるでしょう。

「AirDrop痴漢」をしてしまった場合、問われる可能性がある罪状や逮捕されるかどうかについて、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、AirDrop痴漢はどのような罪に問われるの?

AirDrop機能を使ったわいせつな画像の送り付け事案においては、あまりに新しい手法のために、法律が追いついておらず、裁判で争われる犯罪のひとつかもしれません。

しかし、まったく逮捕されないというわけではありません。実際にすでに逮捕された例もあります。

  1. (1)AirDrop痴漢の具体的な逮捕例

    2018年5月には兵庫県内を走行中だったJRの電車内で向かいに座る女性に対して局部の画像を送った会社員の男が、県迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されたという報道がありました。

    このようにAirDrop痴漢は、実際に相手に触れて性的ないやがらせを行う「痴漢」同様、迷惑防止条例違反として逮捕される可能性があります。

    なお、迷惑防止条例は都道府県ごとに設定されているため、その内容や罰則も都道府県ごとに異なる定めがあることに注意が必要です。東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪で痴漢行為による迷惑防止条例違反として有罪となったときの罰則は、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められています。

    しかし、示談成立により、不起訴処分となる可能性があります。AirDrop痴漢を行った容疑で逮捕された場合でも、今後の生活に影響を残さないためには、示談して不起訴処分を目指す必要があるでしょう。

  2. (2)AirDrop痴漢の罪状は?

    AirDrop痴漢によって問われる罪は、迷惑防止条例違反だけではありません。刑法第175条に定められた「わいせつ物頒布等」にも触れる可能性があります。

    わいせつ物頒布等罪は刑法に定められた犯罪で、「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者」が処罰を受けることになります。

    もし、わいせつ物頒布等罪として起訴に至り、有罪となれば、「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する」、という刑罰の対象になります。刑法で規定されている懲役の期間が、迷惑防止条例違反で規定されている懲役期間よりも長いことから、より重い刑罰に処される可能性があります。

  3. (3)ニューヨークではAirDrop痴漢が違法化へ

    AirDrop痴漢が問題になっているのは、日本だけではありません。先日、ついにニューヨークの市議会議員たちが、AirDrop痴漢を違法とする法案を提出したというニュースが飛び込んできました。もしこの法案が通れば、有罪になったときには、最長1年間の懲役または最高1000ドル(約11万3500円)の罰金を支払うことになると報道されています。

    もしかしたら、今後日本でも厳罰化が進み、同じような法律が制定されるかもしれません。

2、AirDrop痴漢で逮捕された後の流れ

では、AirDrop痴漢で逮捕された際にどのような流れで罪が問われることになるのでしょうか。もしあなたが、AirDrop痴漢を行った「被疑者」として逮捕されたときは、最終的に問われる罪が「迷惑防止条例違反」であっても「わいせつ物頒布等罪」であっても、同じ流れで刑事事件の処理が進んでいくことになります。

  1. (1)裁判までの流れ

    通常、警察に逮捕されるとまずは警察の取り調べを受けます。警察は、48時間以内に検察へ事件と被疑者の身柄を送致するかどうかを判断します。検察へ事件と身柄が送致されると、検察は24時間以内に取り調べを終えるか、引き続き身柄を拘束したまま取り調べを行うために「勾留(こうりゅう)」を行うかを判断します。

    「勾留が必要」と判断したときは、検察官は裁判所に対して勾留請求を行います。被疑者は一度裁判所へ連れていかれ、裁判官から勾留質問という手続きを受けることになるでしょう。ここでは簡単な認否などを聞かれることが多いようです。

    そして、裁判所が勾留を相当と判断すると、被疑者は勾留されることになります。勾留期間は10日間で、検察官の請求でさらに10日間勾留期間を延長されることがあります。つまり最大20日間も帰宅できず、自由を奪われることになるのです。

    勾留期間に行われた捜査や取り調べなどの結果、検察官が十分な証拠が集まり、起訴が相当であると判断すれば、検察官は被疑者を起訴し、裁判手続きに入ることになります。被害者との示談が成立しているなどの事情があれば、不起訴となる可能性が高まります。不起訴となったときは裁判によって裁かれることはなく、前科がつくこともありません。

  2. (2)裁判からの流れ

    起訴後、1~2ヶ月程度すると裁判が開かれます。起訴の際、「公判請求」をされていれば、誰でも傍聴が可能な公開された裁判が行われます。検察官と弁護人が対峙し、証拠調べを行い、実際に有罪・無罪、有罪だとしてどの程度の刑罰を科すのが相当なのかを裁判官が判断することになります。この裁判手続きは、事案によって何回開かれるか異なりますが、最終的には裁判官による判決、という形で終結します。

    「略式請求」であれば、裁判へ出廷する必要もなく、書類のみで処罰が決まることになります。したがって、即時に身柄は自由になりますが、反論の機会は与えられません。すでに罪を認めていて、刑罰も罰金や科料が相当と考えられるケースのみ、略式請求となります。

    いずれにしても、刑事事件において起訴されてしまうと、非常に高い確率で有罪となります。つまり、ほとんどのケースで前科がついているということです。

3、弁護士を雇うメリット

AirDrop痴漢は新たな手法の犯罪であるがゆえに、まだ判断が分かれる部分があります。万が一逮捕されてしまったときは、過剰に重い刑罰に処されることがないよう、冷静に対応する必要があるでしょう。

しかし、逮捕から勾留が決まるまでの最長72時間の間は、たとえ家族であっても面会が制限されます。法律関係の知識がないばかりに、認めなくていいことまで調書で認めてしまう可能性もあるかもしれません。しかし弁護士であれば自由な面談が可能です。なるべく早いタイミングで弁護士を依頼して、直接アドバイスを受けることができれば、不当に重い罪を課せられてしまったり、長期にわたり身柄を拘束されてしまったりする事態を避けられる可能性が高まるでしょう。家族からの差し入れも、弁護士が代理で渡すことができます。

また、被害者のいる犯罪においては、警察や検察は加害者の処罰感情を重視するため、示談を成立させることによって長期にわたる身柄拘束や起訴を回避できる可能性が出てきます。ただし、一種の性犯罪とみなされることから、加害者や加害者家族が、被害者に対して直接示談交渉を行うことも難しいものです。もし被害者が知り合いであったとしたらなおさら、加害者本人や加害者家族が示談交渉を行おうとすることによってさらに事態がこじれてしまうケースが少なくありません。示談交渉においても、弁護士を介した方がスムーズに話が進むことが多い傾向があります。できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼することをおすすめします。

なお、AirDrop痴漢については、各都道府県の迷惑防止条例違反とみなされるケースが多いと考えられます。したがって、逮捕された地域の弁護士が頼りになることでしょう。場合によっては、居住地と逮捕地が異なるケースもあり、対応が難しいと感じることもあるかもしれません。その場合は、全国にオフィスを構えているベリーベスト法律事務所へ相談してください。

なお、現時点で逮捕されていなければ今後も逮捕されない……ということにはなりません。後日逮捕するため。捜査を進めている段階である可能性もあるためです。最近は防犯カメラなどで、しっかりと証拠が残っている場合もあります。心当たりがあるときは、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

4、まとめ

AirDropを使って、不特定多数の方へわいせつな画像を送ることは、犯罪となる行為です。逮捕される可能性があります。

もし、過去にいたずらのつもりでAirDrop痴漢をしてしまったというときは、弁護士に相談しておくことをおすすめします。また、警察から連絡があったからといって逃げ出したりすれば、さらに事態が悪化します。冷静に対処してください。

可能な限り早い段階で刑事事件の対応経験が豊富な弁護士に依頼しておくことで、適切な対応を行うことができるでしょう。ひとりで悩んだり、自己判断したりすることは危険です。まずはベリーベスト法律事務所 千葉オフィスへ気軽に相談してください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています