家族が痴漢冤罪で逮捕されたとき、家族が取るべき手続きとは?
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千葉市は首都圏における巨大ベッドタウンとしてだけではなく、工業地域として大きく発展している都市です。人口も多く、日本の中でも活気のある地域です。しかしその一方で、残念ながら犯罪も起こっています。千葉県警では、痴漢や嫌がらせ被害に関する相談を受け付ける「女性相談所」を開設しています。
電車中などの混雑に乗じて痴漢行為をする者が存在するため、被害者の勘違いや、人違いなど痴漢冤罪事件がなくなることはありません。冤罪とは、罪を犯してもいないのに犯人とされてしまうことを指します。痴漢冤罪は日頃満員電車を使っている以上、人ごとではないのです。万が一、あなたの夫や息子が痴漢容疑で捕まったら、家族として、どのような対応を取ればいいでしょうか?
結論からいえば、痴漢冤罪で逮捕されたときには早期に弁護士に相談することが、非常に大切なポイントとなります。家族であるあなた自身の行動が、夫や息子の将来を守ることにつながると捉え、今何をすべきかを判断しましょう。この記事では、夫や未成年の息子が痴漢容疑で逮捕された場合のリスクと、弁護士に相談すべき理由を、千葉オフィスの弁護士が紹介します。
1、痴漢冤罪のリスク
夫や未成年の息子が痴漢で逮捕されても、痴漢を本当にやっていないのだから無実を主張すればいいと思うかもしれません。しかし、残念ながらそうは単純にはいきません。痴漢の冤罪をかけられたときは、多数のリスクが存在しています。
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(1)有罪となる可能性がある
痴漢事件では、被害者の供述が重要視される側面が強い犯罪です。客観的な証拠が得にくい状況下で行われる犯行であるため、冤罪を主張しても逮捕されてしまうケースが珍しくありません。
満員電車など痴漢が発生しやすい場所に身を置いた時点で、痴漢冤罪で逮捕されるリスクが発生するということです。そして、逮捕後に起訴されてしまうと、高い確率で有罪判決がくだることになります。 -
(2)長期間にわたる勾留の可能性
警察に逮捕されると、取り調べの48時間以内に検察に送致されるかどうかが決定され、検察では24時間以内に交流の必要性が判断され,必要となった場合には裁判所に対し勾留請求が行われます。勾留請求が認められると、原則10日間の勾留と、場合によっては10日間の勾留延長が行われ、逮捕から最長23日もの間、身柄を拘束される可能性があります。嫌疑を否定している場合には捜査の必要性があるとして,23日間身柄拘束を受けることが多いように思われます。
身柄の拘束を受けている間は、仕事や学校へ行くことができません。これほど長期間勾留されると、日常生活に戻ることが難しくなるでしょう。また、逮捕から勾留が決定するまでの間(最大72時間)は家族との面会も制限されます。誰にも相談できず、本人は心身ともに追い詰められる状況となります。 -
(3)会社や学校での不利益
前述のとおり、勾留が決まると長期間会社や学校を休まなくてはなりません。長期にわたり休むことになれば、逮捕された事実が知られてしまい、場合によっては解雇や退学などの厳しい処分がくだるリスクがあります。
たとえ冤罪であっても、逮捕されただけの時点で疑いの目を持つ方は残念ながら存在します。結果、今後の人間関係、就職、結婚など、人生のさまざまな場面に影響を及ぼすことにもなりかねません。 -
(4)社会的評価を失う
冤罪でも、逮捕されれば被疑者として捜査機関からの取り調べを受けることになります。あとで無罪が分かったとしても、いったん痴漢容疑を疑われると、周囲の好奇の目にさらされたり、陰口の対象となってしまったりすることもあります。
場合によっては解雇・退学のような厳しい処分を受けることがなくても会社や学校にいづらくなり、自ら退職や退学の道を選ぶ方もいるようです。 -
(5)冤罪なのに自白してしまう
逮捕されると動揺してしまい、やってもいない犯行を、警察に促されるままに自白してしまう場合があります。「やったと言えば早く帰れる」などと言われて、やっていないのにやったと証言してしまうケースなどが該当します。
しかし、痴漢事件では一度自白するとそれが証拠となってしまいます。あとの裁判でいくら無実を主張しても覆すことは非常に困難になるでしょう。有罪になれば懲役刑や罰金刑などの刑罰を受けることになるだけでなく、前科がついてしまいます。人生において、取り返しがつかない状況となる可能性は否定できないでしょう。
2、痴漢冤罪を弁護士に相談すべき理由
夫や未成年の息子が痴漢で逮捕されたら、すぐに弁護士に相談してください。前述したように、痴漢事件ではいくら無実であっても、起訴され、有罪判決がくだる可能性があるためです。
ここからは、依頼を受けた弁護士が行うことについて具体的に解説します。
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(1)今後の対応を相談できる
逮捕から勾留が決まるまでの間、たとえ家族であっても基本的に本人と面会することはできません。このため、何の知識も心構えもない状態で取り調べを受け、不利な供述調書を作成されたり、自白をさせられたりするケースが発生してしまう可能性があります。
しかし、このようなときでも弁護士であれば、本人と接見できます。接見では直接話ができるだけでなく、必要なものの差し入れを渡すことも可能です。弁護士は、接見によって正確な状況を知ったうえでアドバイスが行います。被疑事実を否認し続けることは精神的にも負担の大きい戦いとなるので,弁護士が心の支えになることもできます。
早い段階で弁護士を依頼することによって、冤罪であることを落ち着いて主張することができるでしょう。 -
(2)勾留の回避の可能性が高まる
痴漢事件で、会社や学校などへの影響を抑え、問題なく日常生活を送れるようにするためには、逮捕されたあと、少しでも早く身柄の釈放を目指すことが重要となります。
そこで弁護士は、検察官に対しては勾留請求をしないように、裁判所に対しては勾留請求を却下するように、意見書を提出して働きかけることができます。また、万が一、勾留されてしまった場合でも、「準抗告」という不服申し立てにより、身柄釈放に向けて動くことができます。 -
(3)冤罪を晴らす証拠収集ができる
痴漢事件では、犯人ではないことを証明する物的証拠や目撃証言などが決め手となり、無罪と判断されるケースも増えています。
しかし、身柄を拘束されていたり、同じ電車を使わないことなどを条件に身柄が釈放されていたりすることで、本人が証拠集めをすることは現実的には困難な場合が多いという実情があります。
そこで、弁護士がいれば、本人に代わって冤罪を晴らすための証拠収集を行えます。具体的には、以下のようなことを検証します。- 電車やバスの車載カメラを調べる
- 駅員や目撃者の証言を検証する
- 現場の状況確認や資料収集、再現実験を試みる
- 盗撮が疑われる場合はスマートフォンの操作・送信履歴を調べる
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(4)会社や学校への対応を依頼できる
身柄拘束期間が長引いた場合、家族が事件の状況や手続などを説明したうえで法的根拠に基づき解雇や退学を阻止することは簡単ではありません。
弁護士であれば冤罪である可能性や、逮捕だけで不利益取り扱いができない旨などを論理的に説明し、会社や学校の理解を得るように働きかけることができます。 -
(5)裁判で刑事弁護をしてもらえる
起訴されて刑事裁判となっても、早い段階で弁護士を依頼しておくことにメリットがあります。たとえば、事件が起きた直後に依頼を受けていれば、本人や目撃者などの記憶が鮮明なうちに状況を整理することができるでしょう。最終的には、無実を主張して、不当に処罰を受けることがないよう、事前に有効な方法を考えることができます。
3、まとめ
やってもいない罪で逮捕、起訴され、将来を棒に振ることはあってはならないことです。しかし、痴漢事件が起こる以上冤罪がなくなる可能性は低く、容疑をかけられた側が圧倒的不利な立場になることは否定できません。
夫や未成年の息子が痴漢冤罪で逮捕されてしまったとき、冤罪を晴らし日常を取り戻すためにも家族の協力が必要不可欠です。できる限り早いタイミングで弁護士を探し、今後の対応について相談してください。
ベリーベスト法律事務所千葉オフィスでは、刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が、あなたの家族にかけられた疑惑が晴れるよう、適切なサポートを行います。まずはご連絡ください。
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