家族が公然わいせつ罪で逮捕!逮捕後の流れや量刑は? 千葉オフィスの弁護士が解説
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自宅で家事を行っていたところ、警察から「千葉市内の会社(大学)へ通勤通学中の夫(あるいは息子)を公然わいせつ容疑で逮捕した」という連絡を受けた場合、頭が真っ白になってしまうと思います。普段通りに外出した夫や息子が公然わいせつ容疑で逮捕されたというのは家族にとって、とても衝撃的な出来事ですが、妻や母として夫や息子が逮捕された後はどうなるのか、家族のために何ができるのかなどについて知っておくことで適切な対応を取ることができます。
そこで、公然わいせつ事件の逮捕後の流れや量刑の傾向、家族がすべきことについて解説します。
1、公然わいせつ罪とはどのような罪か
公然わいせつ罪とは、公然とわいせつな行為を行ったときに成立する犯罪です。「公然」とは、不特定多数の人が認識できる状態のことを指し、誰にも見られていない場合も該当します。また、「わいせつな行為」とは「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」と示されています。
たとえば以下のような行為が公然わいせつ罪に該当します。
- 深夜の公園で全裸になった
- 走行する電車内で下半身を露出した
- コンビニやスーパーの駐車場の車内で自慰行為におよんだ
- 性交渉の様子を誰もが閲覧可能な状態のまま、ネット上で生中継した
2、公然わいせつ罪で逮捕された後の流れ
夫や息子が公然わいせつ罪で逮捕されてから処分が決定されるまでの流れについて説明していきます。
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(1)逮捕~勾留請求
逮捕段階での警察の捜査時間は最長で48時間です。警察はこの間に、検察へ身柄を引き継ぐ(送検)か、釈放するかを決定します。そして、送検から24時間以内に、検察は裁判所に勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するか、釈放するかを判断します。
ただし、釈放された場合は処分が決まったわけではありません。そのため、捜査機関からの呼び出しに応じる必要があります。 -
(2)勾留~処分決定
勾留請求が認められると、被疑者は原則10日間勾留されます。さらにやむを得ない事由が認められれば勾留期間が最大で10日間延長されます。この後、勾留期間満了までに起訴・不起訴処分が決定され、起訴されれば裁判を経て量刑が判断されます。
なお、多くの場合、警察の留置場が勾留場所として利用されます。
夫や息子が逮捕された場合、逮捕後の72時間を含めると最長で23日間もの間、身柄が拘束されることとなり、停職や停学など本人が所属する会社や学校に影響が出ることも考えられます。 -
(3)家族はいつから連絡を取れるのか
逮捕中の72時間は、たとえ家族であっても本人と面会できません(認められる場合もありますので、留置されている警察署へお問い合わせ下さい。)。この時点で本人と接触が認められているのは弁護士だけです。勾留期間に入れば、一般的に家族も面会ができます。取り調べや、逮捕されたことに対する強い不安を感じているケースが多いため、現在の状況の説明や差し入れをして励ましてあげるとよいでしょう。
しかし、接見禁止となっている場合は勾留期間に移行しても面会ができません。接見禁止は勾留期間満了までつくことが一般的であるため、言伝があるときは弁護士に依頼するようにしましょう。もっとも、接見禁止は逃亡や証拠隠滅の恐れや組織的犯罪の疑いがあるときなどの措置であるため、軽微な公然わいせつ事件であれば接見禁止になるケースは多くはありません。
3、公然わいせつ事件における量刑の傾向
公然わいせつ事件で不起訴となれば前科はつきませんが、起訴されれば裁判を経て量刑が判断されます。量刑は事件によって異なるため一概には言えませんが、一般的な傾向を紹介します。
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(1)刑法の規定は?
公然わいせつ罪は刑法で「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と示されています。夫や息子が起訴されて有罪になれば、この規定の範囲内で量刑が決定します。
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(2)略式起訴による罰金刑が多い
公然わいせつ事件の多くは、公開裁判は開かれず略式起訴による罰金刑が科されます。略式起訴は通常の起訴手続きを簡略化したもので、書面で罰則を言い渡されます。比較的軽微な犯罪を迅速に解決する目的で選択されるため、公然わいせつ事件では初犯で本人が深く反省しているなど、悪質性が低いと判断されたケースなどが該当します。前科がつくことに変わりはありませんが、罰金刑であれば身柄は解放され、日常生活に戻ることができます。
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(3)懲役刑の可能性もある
公然わいせつ事件は直接体を触られるなど、被害者がいないことから軽い犯罪だと思われがちですが、懲役刑もあり得ます。
懲役刑となれば最長で6ヶ月間刑務所に収監される可能性があり、会社や学校を解雇あるいは退学せざるを得ないなど、社会的な制裁を受けることもあります。とはいえ、初犯で再犯のリスクが低い状況でいきなり実刑となるケースは少なく、執行猶予がつく場合も多いです。執行猶予がつけば、執行猶予期間中に再び罪を犯さない限り、日常生活を送ることができます。 -
(4)逮捕されたのが未成年の場合
逮捕された息子が未成年だった場合、勾留までの流れは成年と同じです。たとえ未成年でも最長で23日間身柄を拘束される可能性があります。
しかし、成年とは異なり、捜査後は事件が家庭裁判所へ送られます。そして、家庭環境調査や面談、心理テストなどを経て非公開で審判が行われます。
未成年に対しては刑罰ではなく、本人の更生や保護を目的とした処分が下されます。たとえば少年院や更生施設へ送られる、保護観察(家庭内に身を置きながら生活指導を受けること)などが挙げられます。
4、逮捕された夫や息子のために家族としてできること
家族としては「夫(息子)を少しでも早く釈放させてあげたい」「できるだけ量刑を軽くしてあげたい」と思うことでしょう。勾留が長引いた場合は会社や学校にも影響が出てきます。そこで、夫や息子が公然わいせつ罪で逮捕された場合、家族としてできることについて紹介します。
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(1)弁護士に相談する
弁護士は法律の専門家として夫や息子が不当な扱いを受けないように適切な対応が可能です。他にも弁護士を頼ることで以下の点で有利になります。
- 早期の身柄釈放…検察官や裁判所への意見提出、準抗告(不服申し立て)などにより、早期の身柄釈放につながります。
- 不起訴処分…特定の被害者(目撃者)との示談や贖罪寄付などを通じて、不起訴処分となる可能性があります。
- 量刑への影響…弁護士の活動で略式起訴や執行猶予となる可能性が高まります。
- 無実の証明…夫や息子が公然わいせつをしていない場合、弁護士は証拠や目撃証言を集め、被害者の供述内容の信用性を争います。
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(2)性犯罪再犯防止対策を講じる
公然わいせつは性犯罪の一種であり、実際にやっていたのであれば、再犯防止対策を講じる必要があります。再犯ともなれば量刑が重くなることが予想でき、社会生活への復帰がさらに困難となる可能性があります。
本人を監視する体制をつくる、専門家のカウンセリングや治療プログラムを受けさせるなどの対策を講じ、今後二度と同じ過ちを犯さないようにサポートする必要もでてきます。性犯罪は自分で悪いことだと分かっていてもやめられないケースもあるため、家族のサポートが大切です。
5、まとめ
今回は、千葉市内における公然わいせつ容疑で夫や息子が逮捕されたケースについて、逮捕後の流れや量刑の傾向、家族としてできることについて解説しました。公然わいせつ罪は、逮捕後数日で釈放されるケースがある一方で、事件によっては身柄拘束が長引いたり、前科がついたりすることもある犯罪です。
逮捕後は、家族が迅速に動くことで夫や息子の不当な扱いを避けることができます。そのためにも専門家である弁護士のサポートを受けるようにしましょう。
夫や息子が公然わいせつで逮捕されてしまい今後の対応に困っているご家族の方は、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスまでご連絡ください。千葉オフィスの弁護士が力になります。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています