自己破産したら周りにバレる!? 自己破産のメリットデメリットを解説します
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千葉地方裁判所による平成28年の民事・行政事件数によれば、破産新規受付は東京、横浜、さいたまに続いて関東圏では4番目の多さとなっています。関東圏では順位が低いとはいえ、決して少ない数ではありません。いつなんどき、自分がその立場に立つともわからないものでしょう。
自己破産をしなければならないと考えるとき、そのような事態に陥ってしまった自分自身に対しして失望してしまう方もいるでしょう。それ以上に、周りにバレて信用を失ってしまうことを恐れてしまう方もいるかもしれません。バレる可能性も含め、自己破産について、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。
1、自己破産の基礎知識
自己破産とは、周りにバレる不安も伴い、何もかもを失ってしまう悲惨なものと想像するかもしれません。しかし、それはマイナスのイメージが強すぎる気がします。
まずは自己破産そのものを正しく理解することから始めましょう。
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(1)どうすれば自己破産できるのか?
自己破産するには、破産申立書という書類を裁判所に提出して行います。そして、裁判所にて「免責許可」を受け、借金を払う責任を免責してもらうための手続きが自己破産です。
この自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。次項で詳しく解説します。 -
(2)同時廃止
自己破産を行う債権者に分配できる財産がない場合にとる手続きを「同時廃止」と呼ばれています。つまり、債権者に弁済・分配できる財産がない場合にとる方法です。
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(3)管財事件
債務者が財産を持っているケースなどで、裁判所が破産管財人を選任して行う自己破産を「管財事件」といいます。
管財人は、債務者の財産調査をしたのちに、債権者に分配するために財産を処分します。現金で20万円程度の予納金が支払えると判断される場合や、車や家を持っているケースは、「財産あり」とみなされる可能性があります。
2、自己破産をしたことは誰かにバレるものなのか?
自己破産をした事実は周囲にバレるものなのか、とても気になるところでしょう。確かに、「人の口に戸は立てられぬ」といいます。実際に、あなたにお金を貸していたり保証人になっていたりした方から広まってしまう可能性は否定できません。
しかし、そうではない場合でも自己破産をした事実が露呈するかといえば、その危険性はあまり大きくありません。ただし、官報への掲載は行われます。
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(1)破産法に基づいた官報への掲載
そもそも「官報」とは、法律や法令などの制定・改定情報や裁判内容など、国として一般国民に情報を知らせる目的で政府が毎日刊行する公告文書です。つまり、裁判による決定が必要となる「自己破産」をするときは、基本的には官報掲載は覚悟して行うことになります。
自己破産すると、破産法に基づいて「官報」に氏名や住所が記載されます。つまり、官報を閲覧した人には、あなたが自己破産したと知られてしまう可能性が高いといえます。しかし、仕事で必要とされる場合でもない限り、官報を毎日チェックしている方はほとんどいません。また、インターネットで無料閲覧できる期間は30日に限られるため、それ以降は気軽にアクセスできる情報ではなくなります。
したがって、他人に知られてしまう可能性は非常に低いといえます。会社に自己破産を知られてしまうことを恐れる方は多くいますが、弁護士に相談することによって、バレることなく勤務を継続されている方はたくさん存在します。 -
(2)官報掲載を削除する方法はある?
自己破産した情報が掲載されてしまう官報ですが、基本的に削除はできません。そこで、免責決定が出た後に引っ越すことで、住所と名前の一致を避けられるという方法を採る方もいるようです。
大本の官報の情報削除はできませんが、その他のインターネット閲覧できるようになっている民間の官報情報については、削除依頼を出すことができます。本人からの申請を受け付ける窓口がありますので、必要に応じて利用しましょう。
万が一、悪意や好奇心などによって官報に掲載した個人情報を、その他掲示板やSNSなどで広められてしまったときは、弁護士にご相談ください。
3、バレることも含めた自己破産のメリットとデメリット
自己破産にメリットはないと思われるかもしれません。しかし、自己破産は悪いことばかりではないことを知っておきましょう。
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(1)自己破産がバレる以外のデメリット
メリットの解説の前に、まずはしっかりと自己破産のデメリットを理解しておきましょう。
【財産処分】
まずはあなたの財産が処分される覚悟をしてください。持ち家であれば現在住んでいる住居も入るため、引っ越しをしなければならないかもしれません。子どもがいれば、転校も視野に入るでしょう。車も査定価格が20万円以上なら、現金化して借金の支払いにあてなければならない可能性があります。
しかし、処分されるのは高額な財産に限られます。生活するために必要な最低限度の家具類などは残されます。その基準額は地域ごとに異なります。居住地に近い弁護士などに相談してください。
家族や配偶者の財産への影響も気になるかもしれませんが、基本的に処分を迫られるのは自己破産した本人名義の財産だけです。配偶者名義であれば、あなたの配偶者であっても処分されることはありません。しかし、夫婦の共有名義の場合は処分の対象となります。
【さまざまな制限】
自己破産をすると、住居移転および長期間の旅行については制限を受けます。これらのことは裁判所の許可がなければできないと思っておきましょう。ほんの数日に出掛ける程度であれば、もちろん許可を得なくても行えます。その他にも職業や資格に制限がかかります。
【再度自己破産の厳しさ】
まれに、自己破産を繰り返そうとする方もいます。もちろん、原則として再び自己破産することは可能です。しかし、前回の自己破産から7年以上経過していなければ自己破産はできないということになっています。また、2度目となればかなり厳しく審査されると思っていてください。
【ブラックリスト掲載】
自己破産後は現在持っているあなた名義のクレジットカードは、家族カード含め使えなくなります。ローンを組むことや、新しく消費者金融でクレジットカードを作ることも難しくなるでしょう。しかし、あなたの家族がクレジットカードを作ることは可能です。 -
(2)自己破産のメリット
いくつかの制限を受けることになる自己破産ですが、大きなメリットがあります。
それは、借金の支払いが免除されることです。自己破産することで、これまでにあった厳しい取り立てがなくなります。財産を処分はされてしまう可能性はありますが、最低限度のものは残してもらえるので、落ち着いて生活を立て直すことができます。
ただし、免除されない借金もありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
4、自己破産の手続き方法
先の項目で解説したように自己破産には2つの種類があります。
「同時廃止」の自己破産は、管轄の地方裁判所に自己破産を申し立てることから始まります。その際にそろえる資料などがありますが、非常に多岐にわたり手間がかかるだけでなく、債権者からの取り立てにも対応しなければなりません。できればこの段階から弁護士に依頼したほうがよいでしょう。弁護士に依頼した段階で、債権者からの取り立てを止めることができます。
申し立てを行った後は、申し立て本人もしくは弁護士が、裁判所で裁判官に事情説明を行う面接が行われます(地域によっては面接が不要のところもございます。)。面接において、追加資料の提出を求められたときは対応する必要があります。
資料と面接を通じて、実際に申し立てをした本人が支払い不能状態であると認められれば、裁判所は破産手続きを開始します。20万程度の資産さえないとなれば、同時に破産手続廃止が決定します。このように、破産手続きの開始と破産手続き廃止が同時に決定されることから「同時廃止」の自己破産と呼ばれています。
なお、同時廃止のときはその直後に、それ以外のときには破産手続廃止決定の1~2ヶ月後、本人が出頭する「免責審尋期日」が裁判所で開かれます(これも地域によっては,事情次第で開かれないところもございます。)。そして、免責審尋期日から1週間程度で破産法に規定されている免責不許可事由がなければ(または裁量で免責するのが相当な場合)、裁判所は免責許可と不許可を決定します。
許可の確定は、決定後およそ2週間後に官報で公告されたのち、公告から2週間で確定します。免責許可が確定したら初めて借金から解放されるというわけです。もし、免責が不許可となった債務について異議がある場合は、高等裁判所に対して即時抗告をすることができます。弁護士と相談しながら進めたほうがよいでしょう。
5、まとめ
今回は、自己破産のメリットとデメリットを解説しました。実際に自己破産の処理を法律に詳しくない個人がしようとすると、事務処理が非常に大変なものとなります。債権者との対応も非常に大きなストレスとなるでしょう。
自己破産を考える状態にあるのであれば、ひとりで抱え込まず、まずはベリーベスト法律事務所 千葉オフィスにご相談ください。弁護士に依頼することによって、今まで続いていた厳しい取り立ての電話などを止めることができます。自己破産の書類準備なども、スピーディーかつスムーズに進めることが可能です。借金をリセットし、生活を立て直すためにもぜひご活用ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています