交通事故で骨折した場合の慰謝料相場と弁護士に依頼すべき5つの理由とは
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平成30年中の千葉県における交通事故は、17374件発生しています。
そしてこれらの事故により、186人の方が亡くなり21160人の方が負傷する深刻な被害が生じています。
交通事故における負傷としては、程度の違いは大きくありますが骨折を伴うことも少なくありません。
本コラムでは、交通事故で骨折した場合の慰謝料相場と弁護士に依頼すべき5つの理由についてベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説していきます。
1、骨折した場合には、どのような慰謝料がもらえる可能性がある?
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(1)慰謝料とは
慰謝料とは、不法行為によって受けた被害者の精神的苦痛に対して加害者が支払う損害賠償金のことをいいます。交通事故の被害に遭い骨折した場合には、被害者は受けた精神的苦痛に対して加害者側に慰謝料を請求することができます。
なお被害者が加害者側に請求できる損害賠償は、治療費や休業損害などさまざまな項目があり慰謝料のみを請求できるわけではないので、その点は整理して理解しておくとよいでしょう。
交通事故による骨折などの怪我に対する慰謝料は、「入通院慰謝料」(傷害慰謝料)と「後遺障害慰謝料」の2種類があります。 -
(2)入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、交通事故による怪我で入院や通院を余儀なくされた場合に請求できる慰謝料です。
交通事故で骨折した場合には、単純骨折・複雑骨折・剥離骨折・圧迫骨折など骨折の態様に応じて入院や通院による治療が行われます。
入通院慰謝料の金額は、治療のため必要になった入院や通院の期間や頻度に応じて算出されます。 -
(3)後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、治療を懸命に続けたにもかかわらず後遺障害が残ってしまった場合に後遺障害等級認定を受けて請求できる慰謝料です。
交通事故による骨折などの怪我が完治することが一番ではありますが、万が一後遺症が残ってしまった場合に、適切な後遺障害等級認定を得ることで示談金の額が大幅に増額します。
後遺障害慰謝料の金額は、認定を受けた等級に応じて算出されます。
2、慰謝料相場を算出する基準は3つある
入通院慰謝料や後遺障害慰謝料を算出する基準には、3つの基準があります。
どの基準をもとにして計算するかで、慰謝料額に大きな差が生じます。
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(1)自賠責基準
自賠責基準とは、強制加入保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)による基準です。自賠責保険は最低限の補償を行うものなので、3つの基準の中でもっとも低額となる基準です。
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(2)任意保険基準
任意保険基準とは、それぞれの任意保険会社が独自に作成する基準です。任意保険基準は原則として非公表とされていますが、通常は自賠責基準よりは多少高くなるものの弁護士基準よりは低額となります。事故の相手側保険会社が提示する慰謝料の金額は、この任意保険基準によって計算されています。
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(3)弁護士基準
弁護士基準とは、過去の裁判例などをもとにして弁護士会が作成している基準です。弁護士基準は、3つの中で一番高額となる基準で他の2つとは大きな金額の差が生じるものです。
弁護士基準については、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)などに掲載されている基準表で確認することができます。
3、骨折した場合の慰謝料相場はどうやって計算する?
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(1)入通院慰謝料の相場
骨折した場合には、弁護士基準では入院や通院の期間に応じて作成されている基準表から慰謝料額の相場を計算します。
ただし、通院が長期に亘る場合には、症状や治療内容や通院頻度をふまえて実際に通院した日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあります。
たとえば通院期間が6か月間(1か月あたりの実際の通院日数は10日間)の場合には、2018年版の赤い本の弁護士基準では「116万円」が入通院慰謝料の相場となります。なお、毎年、基準となる金額は変わることがあるので注意が必要です。
一方自賠責基準では、「総治療期間」または「実際に通院した日数×2」の小さい方の数値に4200円をかけて計算します(なお、令和2年4月1日以降に発生する事故については、1日4300円が基準となります。)。
そのため6か月間の総治療期間で1か月あたりの実際の通院日数が10日間であれば、「実際に通院した日数×2」の方が小さい数値となり、自賠責基準では「50万4000円」が入通院慰謝料の相場となります。
具体的にはそれぞれのケースに応じて計算する必要がありますが、自賠責基準と弁護士基準では2倍近い差があることが分かります。
なお任意保険基準は非公表ですが、弁護士基準よりは相当低い金額になることがほとんどです。 -
(2)後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、後遺障害として認定された等級に応じて計算します。
弁護士基準の後遺障害慰謝料は、第14級の110万円~第1級の2800万円まで等級ごとに金額が定められています。
一方自賠責基準の後遺障害慰謝料は、第14級の32万円~第1級の1150万円(別表第2)まで等級ごとに金額が定められています(令和2年4月1日以前の基準では1級1100万円)。
具体的にはそれぞれのケースに沿ってご確認する必要がありますが、後遺障害慰謝料の相場も入通院慰謝料と同様に弁護士基準による相場がもっとも高額になります。
4、骨折でこのような症状が残ったら後遺障害等級認定を!
後遺障害が残った場合には、後遺障害等級認定を確実に獲得することが重要です。
認定を獲得できた場合には、後遺障害慰謝料だけでなく逸失利益(後遺障害がなかったら得られたはずの収入などを補塡(ほてん)するもの)を請求することができます。
骨折で次のような症状が残った場合には、後遺障害として症状に応じた等級の認定を得られる可能性があります。後遺障害に該当するかもしれないと思ったら早期から弁護士に相談して、適切な認定を受けられるように戦略的に準備をすることも大切です。
・欠損障害
腕や足などの身体の部位の全部または一部を失ってしまった場合です。
・機能障害
関節を動かす機能に障害が生じてしまった場合です。可動域が制限されたり人工関節を入れている場合などに該当します。
・変形障害
骨が変形して接合してしまった場合などです。
・神経障害
しびれや痛みなどの神経症状が残った場合です。
・短縮障害
足などの長さが骨折により他方より短くなった場合です。
5、弁護士に依頼すべき5つの理由
交通事故で骨折などの怪我を負った場合には、できるだけ早期に弁護士に依頼すべきといえます。その理由としては、主に次の5つの理由を挙げることができます。
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(1)相手側保険会社との交渉を任せられる
交通事故の被害に遭われた場合には、通常事故の相手が加入する任意保険の担当者と交渉を行うことになります。怪我の治療などで忙しい中で相手側保険会社と連絡を取り合うことは負担になることも多いものです。
また相手側保険会社から症状固定の時期ではないのに症状固定として治療費を打ち切る打診があり断れないことも少なくありません。
弁護士に依頼した場合には、依頼者の代理人として相手側保険会社とのやり取りや交渉を行います。
弁護士が交渉すれば、依頼者の相手側保険会社との交渉にかかる負担を軽減、適切な時期まで治療を受けられるようになるなど数多くのメリットがあります。 -
(2)弁護士基準で交渉を進めやすい
通常ご自身だけで弁護士基準の慰謝料額などで交渉をしようとしても、相手側保険会社に主張を認めさせることは難しいものです。
しかし弁護士に依頼した場合には、弁護士基準を確実な根拠として示して交渉することができるので弁護士基準に近い形で交渉を進められる可能性が高くなります。 -
(3)適切な後遺障害等級認定を獲得できる可能性が高まる
後遺障害等級認定は、原則として書類審査によって行われます。そのため提出する書類によっては、同じ症状であっても認定の可否や認定される等級が違うことが生じ得ます。
しかし弁護士は、どのような治療や検査を行ってどのような記載のある書類を提出すれば認定が得やすいかを熟知しています。
そのため弁護士に依頼した場合には、適切な認定を獲得できる可能性が高まります。 -
(4)慰謝料額を含めた示談金全体の大幅な増額が見込める
弁護士へ依頼は、弁護士基準での慰謝料額が認められたり、適切な後遺障害等級認定が得られる可能性を高め、依頼者の今後の生活を支える上で重要な示談金全体の金額の大幅な増額につながります。
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(5)裁判になったときでも安心できる
相手側保険会社などとの交渉がうまくいかなかった場合に、裁判で解決した方が依頼者の利益になる場合もあります。依頼者の希望をうかがいながら、裁判にした方がよいかどうかも含めてアドバイスすることができます。
また弁護士は、裁判でも専門家として証拠をそろえたり、主張や反論を行い有利な判決が得られるように活動できます。
弁護士への依頼は、裁判になったときでも安心です。
6、まとめ
本コラムでは、交通事故で骨折した場合の慰謝料相場と弁護士に依頼すべき5つの理由について解説していきました。
ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士は、交通事故の被害に遭ってしまった方が少しでも納得できる示談にできるよう全力でサポートいたします。ぜひご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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