空き巣はどんな罪になるの? 家族が逮捕されたときにできること

2021年02月22日
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空き巣はどんな罪になるの? 家族が逮捕されたときにできること

千葉県警察のデータによると、2019年中に千葉県内で認知された窃盗事件は3万1026件(前年比10.6%減)、そのうち検挙された件数は8455件(前年比15.1%減)でした。

空き巣は典型的な刑法上の犯罪であり、軽い気持ちで行うと大変なことになってしまいます。 もし家族が空き巣で逮捕されてしまった場合、被疑者本人をサポートするため、弁護士と協力して適切な対応を行いましょう。

この記事では、空き巣について成立する犯罪の内容や、家族が空き巣で逮捕された際の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「犯罪の概要 令和元年」(千葉県警察本部))

1、空き巣は刑法上どのような罪になる?

まずは、空き巣について成立する犯罪の内容をまとめて解説します。

  1. (1)住居侵入罪と窃盗罪

    空き巣について問題となるのは、「住居侵入罪」(刑法第130条前段)と「窃盗罪」(刑法第235条)です。
    この点で、空き巣は「住居侵入窃盗」と呼ばれることもあります。

    住居侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。
    そして空き巣の場合は、窃盗が「目的」、住居侵入が「手段」の関係にあるため、「牽連(けんれん)犯」として、より重い窃盗の刑によって処断されます(刑法第54条第1項後段)。

  2. (2)見張りのみを担当していた場合も罪に問われうる

    空き巣が住人や近隣住民などへの発覚を防ぐため、実行犯と見張りに役割を分担するケースもあります。

    この場合は、実行犯だけでなく、見張りを担当した者についても、「共同正犯」または「幇助(ほうじょ)犯」のいずれかが成立する可能性があります。

    見張りが犯罪の成立に不可欠であるなど、見張り担当が重要な役割を果たしたと認められる場合には「共同正犯」として、実行犯と同じ窃盗罪の法定刑により罰せられることがあります(刑法第60条)。

    一方、あくまでも実行犯がメインで、見張り担当はサブとしての貢献しか行っていなかった場合には、「幇助(ほうじょ)犯」(刑法第62条第1項)として、窃盗罪の法定刑が減軽された刑事罰を受けることがあります(刑法第63条)。

  3. (3)窃盗が未遂に終わっても罰せられうる

    空き巣に入ったものの、いったん室内で物色を開始した後であれば、その後犯行の発覚を恐れて何も取らずに逃げた場合であっても、「窃盗未遂罪」として罰せられる可能性があります(刑法第243条、第235条)。

    窃盗未遂罪の刑は、既遂の場合に比べて減軽される場合があります(刑法第43条本文)。

2、家族が空き巣で逮捕された後の流れ|捜索差押えや取調べへの対応

万が一、家族が空き巣で逮捕された場合、次々に対応しなければならない事柄が発生します。

  1. (1)被疑者の刑事処分の流れ

    空き巣で逮捕された被疑者は、警察署の留置場などで72時間を上限として身柄拘束された後、さらに身柄を拘束すべきと検察官が判断した場合には、「起訴前勾留」の請求が行われます。

    起訴前勾留とは、起訴前における逮捕よりも長期の身柄拘束のことで、空き巣で逮捕された場合、最長で20日間の期間が認められます

    起訴前勾留の請求が認められた場合、被疑者は引き続き身柄を拘束され、その間に捜査機関は捜査を行い、検察官が被疑者を起訴するかどうか判断します。
    被疑者が起訴された場合は、「起訴後勾留」に切り替えられ、被疑者は被告人としてさらに引き続き身柄を拘束されます。

    最終的には、裁判所における公判において、被告人が有罪かどうか、有罪であれば量刑をどうするかが決定されることになります。

  2. (2)被疑者と面会するにはどうすればよい?

    家族が被疑者と面会したい場合には、被疑者が身柄を拘束されている留置施設に事前にアポイントメントを取る必要があります。
    被疑者が拘束されている場所は、犯罪が発生した地域を管轄する警察署に確認すれば教えてくれます

    ただし、面会時間は1回当たり15分前後と限られており、警察官の立会いも行われます

    また、共犯者がいるケースなどでは「接見禁止」の扱いになっていることがあります。
    接見禁止の場合は、弁護士なら被疑者と面会することができますが、家族が面会することはできません。

  3. (3)自宅の捜索が行われる場合の対処法

    空き巣による被害品の押収や、その他被疑者の身辺調査などを目的として、家族が住んでいる自宅に対する捜索差押えが行われる場合があります。

    捜索差押えは強制処分なので、令状がある場合には、家族はそれを拒むことはできません。その場合、どのようなものが押収されたかについては、今後の弁護活動の方針を決めるに当たって重要になりますので、きちんと押収品目録を受け取り、内容に誤りがないか確認しておきましょう

  4. (4)参考人として取調べを受ける際の心構え

    捜査機関は、被疑者の普段の性格や暮らしぶりを情状面での参考にするため、被疑者の家族に対して参考人としての取調べを行う可能性が高いです。

    参考人取調べを受けることになった際には、被疑者に不利な内容を無計画に口走ることは避けなければなりません。参考人は取調べに応じる義務を負いませんので、捜査機関の質問には答えない自由もあります。

    もし何を話してよいか、何を話してはいけないかの区別がつきにくい場合は、事前に弁護士へ相談しましょう。

3、家族が空き巣で逮捕されたらすぐに弁護士に相談すべき理由

家族が空き巣で逮捕されてしまった場合、被疑者となった家族を一刻も早く解放するためには、すぐに弁護士に相談することをおすすめいたします。

  1. (1)身柄解放に向けた一刻も早い対応が必要

    被疑者がいったん起訴されてしまうと、その後長期間にわたって身柄拘束が継続するうえ、有罪になる可能性も非常に高くなってしまいます。
    そのため、被疑者が起訴される前から、不起訴処分による身柄解放を目指した対応に一刻も早く着手することが大切です。

    弁護士は、被疑者の逮捕直後から被疑者と接見できるため、速やかに事件対応に着手することが可能です。

  2. (2)弁護士は接見に関する制限がない

    前述の通り、通常の被疑者との面会は、家族の場合も含めて、時間の制約が大きく、かつ警察官の立会いが入ってしまいます。

    これに対して弁護士の場合は、弁護人として時間無制限、かつ警察官の立会いなしでの接見が可能です。
    時間無制限・立会いなしでの接見が行えることは、被疑者の弁護活動を進めるうえで非常に有利に働く可能性があります。

  3. (3)被害者との示談を代行することで寛大な処分につながりやすい

    不起訴や執行猶予などの寛大な処分を得るためには、被疑者との示談が成立しているかどうかが重要なポイントになります。

    しかし、被疑者が身柄拘束をされたままでは、被疑者自身が示談交渉に参加することはできません。そこで、弁護士を通じて示談交渉を行うことが有効になります。

    弁護士は、実際に発生した犯罪の内容などを踏まえて、被害者に対して適切な示談金を提示するなどして交渉を行います

4、空き巣の罪が不起訴や執行猶予になる可能性はある?

被疑者の罪の軽さや情状を検察官にきちんと伝えることに成功すれば、空き巣で逮捕された被疑者が不起訴になったり、公判で執行猶予付きの判決が得られたりする可能性が上がります。

  1. (1)犯罪の悪質性と情状次第

    被疑者(被告人)が起訴に値するか、有罪の場合は実刑にするかどうかについては、被疑者がどの程度悪質な罪を犯したのかという点がもっとも大きく考慮されます。

    空き巣の場合は、窃取した金品の金額が、起訴・不起訴や量刑判断のもっとも大きなポイントになると言っても過言ではありません。
    これに加えて、住居侵入の態様(鍵を破壊したり窓を割ったりした場合はより悪質と判断される。)などを加味した判断が行われます。

    また、被疑者が被害弁償をしたことや、被疑者(被告人)に犯罪性向がないこと、普段の人柄が良好なことなど、被疑者にとって有利な情状がある場合は、不起訴や執行猶予付判決などの寛大な判断が下される可能性が高まります。

  2. (2)弁護活動を通じて効果的に情状をアピールすることが大切

    被疑者の犯した罪が軽微であることや、被害弁償をしたこと等被疑者に良い情状があることなどを検察官や裁判官に対して効果的に伝えることができれば、被疑者に対する寛大な処分につながりやすくなります。

    検察官・裁判官は法律の専門家ですので、法的な観点から理路整然とした主張を組み立てることにより、被疑者側の言い分が伝わりやすくなります。
    そのためには、同じく法律の専門家である弁護士のサポートを受けることが有効といえます。

  3. (3)被害者との示談成立が重要なポイント

    空き巣の場合に被疑者が不起訴や執行猶予付き判決などの寛大な処分を得るには、「示談」による被害弁償がなされ、被疑者に対する被害者の処罰感情が和らいでいるかどうかが大きなポイントになります。

    示談を成立させるためには被害者側との交渉が必要になりますが、被疑者が身柄拘束をされたままでは、示談交渉を自ら行うことはできません。
    また、家族が示談交渉を代行しようとしても、示談金の相場などがわからないという場合も多いでしょう。

    空き巣被害者との示談を成立させたい場合には、刑事弁護を普段から多く担当している弁護士に相談するのがもっとも安心です。

5、まとめ

家族が空き巣で逮捕されてしまったら、被疑者が孤立無援にならないようにサポートするため、早い段階から弁護士に依頼をすることが大切です。

ベリーベスト法律事務所では、刑事弁護の専門チームが、親身になって対応いたします。
家族が空き巣で逮捕されてしまい、どうしたらよいのかわからないという方は、すぐにベリーベスト法律事務所 千葉オフィスにご相談ください。

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