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電子計算機使用詐欺で執行猶予がつく可能性は? 逮捕後の流れとともに解説

2021年08月05日
  • その他
  • 電子計算機使用詐欺
  • 執行猶予
電子計算機使用詐欺で執行猶予がつく可能性は? 逮捕後の流れとともに解説

令和元年2月、千葉市内に本店を置く地方銀行の男性行員が、本来は銀行が受け取るべき顧客からの口座振替手数料など約2億4900万円を自身の口座に移していた事件が発覚しました。発覚した当初、銀行側は業務上横領での刑事告訴を検討していましたが、同年11月に書類送検された際の罪名は「電子計算機使用詐欺罪」でした。

電子計算機使用詐欺罪は、この事例のように不正な着服事案のほかにも、特殊詐欺の手口のひとつである還付金詐欺によく適用される犯罪です。

本コラムでは「電子計算機使用詐欺罪」で逮捕された場合の流れや執行猶予がつく可能性について、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、電子計算機使用詐欺罪とは?

電子計算機使用詐欺罪は、コンピューター犯罪が増加して刑法第246条の「詐欺罪」では新たな形態の犯罪に対応できなくなってきたことを背景に、昭和62年6月2日施工の刑法改正で刑法第246条の2として誕生した犯罪です。

電子計算機使用詐欺罪にあたる行為としては、次の2つが定められています。

  • 不実の電磁的記録の作出
  • 電磁的記録の供用


「不実の電磁的記録の作出」とは、コンピューターに虚偽の情報を与えて不正に利益を得る行為を指し、「電磁的記録の供用」とは虚偽の電磁的記録をコンピューターに使用して不正に利益を得る行為を指します。

  1. (1)電子計算機使用詐欺罪が成立しやすい3つのケース

    電子計算機使用詐欺罪が成立しやすい典型的なケースは次の3つです。

    • 銀行員などによる着服
    • 還付金詐欺
    • 無人改札機でのキセル乗車


    銀行員などによる着服や還付金詐欺は、電子計算機使用詐欺罪のうち「不実の電磁的記録の作出」にあたります
    不実の電磁的記録の作出にあたる理由は、それぞれの行為が次のように解釈できるからです。

    • 銀行内のオンラインシステムにつながる端末を操作して、入金の事実がないのに自身の口座に入金があったという不実の電磁的記録を作る行為
    • 被害者がATMを操作すれば還付金が受けられると嘘をつき、事情をよく理解していない被害者自身にATMを操作させて、被害者の真の意思とは反する虚偽の情報を与えることで、被害者口座から指定口座へ振り込みをさせ不実の電磁的記録を作る還付金詐欺行為


    無人改札機でのキセル乗車は「電磁的記録の供用」にあたります
    購入した乗車券では認められない区間を利用しているのに、正規運賃を支払っているかのように装って無人改札機に挿入することで運賃支払いを免れる行為は、虚偽の電磁的記録の供用し、不正に利益を得たと判断されます。

    なお、無人改札機ではなく乗車区間を偽って有人改札を通過した場合は、電子計算機使用詐欺罪ではなく通常の詐欺罪が成立します

  2. (2)電子計算機使用詐欺罪の刑罰

    電子計算機使用詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、詐欺罪と同じです
    罰金は規定されていないので、有罪判決が下されれば確実に懲役刑となります。

2、被疑者として逮捕された場合の刑事手続きの流れ

電子計算機使用詐欺罪の被疑者として逮捕されると、その後はどのような刑事手続きを受けるのでしょうか?

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束

    警察に逮捕されると、ただちに身柄拘束を受けます。
    自由な行動は大幅に制限され、警察署の留置場に身柄を置かれて取り調べがおこなわれるため、自宅へ帰ることも、会社や学校へ通うことも許されません。

    警察段階での身柄拘束の限界は48時間です。
    逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄は検察官へと引き継がれます
    この手続きが、ニュースなどでは送検とも呼ばれる「検察官送致」です。

    送致を受けた検察官は、自らも被疑者を取り調べたうえで送致から24時間以内に勾留を請求するか、もしくは釈放しなければなりません。

    検察官からの請求を裁判官が認めると、勾留による身柄拘束がはじまります。
    勾留による身柄拘束は、原則10日間以内、請求によってさらに10日間以内の合計20日間が限度です。

    勾留中の被疑者の身柄は警察に戻されて、再び警察署の留置場に置かれます。
    それから検察官の指揮を受けながら検察官や警察による取り調べが進みます。

  2. (2)起訴・不起訴の判断

    勾留が満期を迎える日までに、検察官は起訴・不起訴の最終判断を下します。
    検察官が起訴に踏み切れば被疑者の立場は「被告人」へと変わり、裁判所が起訴後勾留を認める場合には引き続き刑事裁判を待つ身として身柄拘束が継続します(勾留)
    この段階から、条件つきで身柄拘束が解かれる「保釈」の請求が可能になりますが、逃亡・証拠隠滅のおそれがあるなどのケースでは保釈が認められません。

    検察官が不起訴処分を下すと、ただちに身柄拘束が解かれて釈放されます。
    刑事裁判は開かれないので、刑罰を受けることはありません。

    起訴・不起訴の判断は行わずに、処分を保留し釈放するというケースもあります。

  3. (3)刑事裁判

    刑事裁判では、検察官は犯罪を証明するための証拠を、弁護士は被告人にとって有利となる証拠をそれぞれ裁判官に示して取り調べを受けます。
    必要に応じて証人を呼び、供述を求めることもあります。

    通常、検察官の起訴から約1か月後に初公判が開かれ、その後は2週間から1か月に1回程度の頻度で公判期日が設けられたうえで事件の内容にもよりますが少ない時には1回で、そうでない時には数回の審理を経て結審します。
    結審の後、判決を受けることになり、有罪・無罪の別と、有罪であれば法定刑の範囲内で量刑が言い渡されます。

3、電子計算機使用詐欺罪で執行猶予が付く可能性は?

電子計算機使用詐欺罪は、詐欺罪と同じく最高10年の懲役を言い渡される可能性もある重罪です。
長期にわたって刑務所に収監されてしまえば、自らの社会生活に甚大な悪影響を及ぼすのは確実でしょう。

電子計算機使用詐欺罪にあたる行為が事実であり、検察官が起訴に踏み切る事態を避けられないなら、社会生活への影響を最小限に抑えるには「執行猶予」を目指すのが賢明です。

  1. (1)執行猶予とは

    執行猶予とは、有罪判決を受けたとしても情状によって刑の執行を猶予する制度です。
    ほかの罪を犯さずに執行猶予の期間を満了すれば、刑の言い渡しの効力が消滅します。

    執行猶予の条件は刑法第25条1項に規定されています。

    • 3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言い渡しを受けたとき
    • 以前に禁錮以上の刑を受けたことがない
    • 以前に禁錮以上の刑を受けたことがあり、その刑の執行が終わった日または執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑を受けたことがない


    「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言い渡し」とは、実際に刑事裁判の判決として言い渡された量刑を指します。
    つまり、電子計算機使用詐欺罪でも、裁判官が下す判決が3年以下の懲役であれば執行猶予の対象です

    これらの条件に合致したうえで、被告人にとって有利な事情がある場合、裁判官は刑の執行を猶予「できる」とされています。
    あくまでも「執行を猶予できる」とされているため、条件に合致したからといって必ず執行猶予が得られるわけではありません。

  2. (2)詐欺罪で執行猶予がつく割合

    電子計算機使用詐欺罪で執行猶予がつく割合を示す統計は見当たりませんが、裁判所の司法統計には、詐欺・電子計算機使用詐欺罪を含めた「詐欺の罪」に対する処分結果が公開されています。

    令和元年中に詐欺の罪で有罪判決を受けた人員の総数は3543人でした。
    この中で、判決に執行猶予がついたのは1847人なので、割合は52.1%です。

    実に、詐欺の罪で有罪判決を受けた被告人の半数以上は刑の執行が猶予されていることになります。

4、電子計算機使用詐欺容疑に問われた段階で弁護士に相談を

電子計算機使用詐欺の容疑をかけられてしまったら、ただちに弁護士に相談してサポートを求めましょう。

  1. (1)逮捕の回避に向けた弁護活動が期待できる

    電子計算機使用詐欺罪は最高10年の懲役が科せられる重罪です。
    不正な着服事案や特殊詐欺といった悪質性が高いと評価されやすいケースに適用されることが多く、被害額も高額になりやすいため、逮捕の危険は非常に高いといえます。

    早期に弁護士を選任してサポートを依頼すれば、逃亡・証拠隠滅のおそれを否定するために取るべき正しい行動についてのアドバイスが得られるので、逮捕の回避につながるでしょう。

  2. (2)示談成立による執行猶予・不起訴処分が期待できる

    電子計算機使用詐欺罪は、被害者に対して金銭的な損失を与える犯罪です。
    つまり、被害者に与えた損失分を弁済したうえで真摯(しんし)な謝罪を尽くせば被害者の金銭的な損失は解消されるため、検察官が不起訴処分を下す、あるいは刑事裁判で執行猶予つき判決を得られる可能性が高まります

    被害者との示談交渉は、加害者本人やその家族だけで進めるのではなく、弁護士に一任するのが賢明です。

    電子計算機使用詐欺の被害者の中には、加害者に対して「許せない」「金銭だけの問題ではない」と強い憤りを感じている人も少なくありません。
    加害者本人やその家族が示談交渉をもちかけてもかたくなに拒まれてしまうおそれがあるので、第三者である弁護士が代理人となり、被害者の警戒心を和らげながら交渉を進めるのが最善策となるでしょう。

5、まとめ

電子計算機使用詐欺罪は、詐欺罪と同じく10年以下の懲役が規定されている重罪です。
事案の悪質性や被害額によっては厳しい刑罰が科せられる危険があるものの、実際に詐欺の罪で有罪判決を受けた被告人のうち半数以上に執行猶予つきの判決が下されているという統計もあるので、諦めるのではなく容疑をかけられたらただちに弁護士に相談しましょう。

電子計算機使用詐欺の容疑をかけられてしまい、逮捕や厳しい刑罰を回避したいと考えるなら、弁護士に依頼して被害者との示談交渉を進めるのが最善策です。

被害者との示談交渉や逮捕・刑罰を避けるための弁護活動は、刑事事件の対応実績が豊富なベリーベスト法律事務所 千葉オフィスにお任せください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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