Twitterでわいせつ画像をアップしたら犯罪! 問われる罪と量刑を弁護士が解説

2019年04月23日
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Twitterでわいせつ画像をアップしたら犯罪! 問われる罪と量刑を弁護士が解説

千葉県の児童に撮らせたわいせつな画像をTwitter(ツイッター)で販売していた男が、平成30年8月に逮捕される事件がありました。男は鹿児島県在住の未成年者だったと報道されています。

Twitterは利用者の多いSNSのひとつです。たとえ仲間内でふざけ合ってのことだったとしても、一度インターネット上に流通・拡散した画像を世の中からすべて削除することは極めて難しいことです。冒頭の事件のように、許可を得ずに、第三者や児童のわいせつな画像をアップロードしていたり、取引の場に利用したりしていれば、非常に重い罪に問われる可能性があります。

近年増加しているTwitter上でのわいせつ画像をめぐる犯罪について、千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、Twitterにわいせつ画像を載せるのは犯罪?

Twitter とは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の代表的なサービスのひとつです。すでに利用されている方も多いのではないでしょうか。

ソーシャル(社会的)という名前のとおり、Twitterは世界中の人々と交流することができる、いわば公共の場です。Twitterに限らず、インターネット上に投稿した文章や画像は、基本的には全世界中の人々が見ることができる状態になっているともいえるでしょう。

さて、公共の場であるとするならば、Twitter上でわいせつ画像を投稿する行為はどういう結果をもたらすのでしょうか。

  1. (1)Twitterにわいせつ画像を載せたときに問われる罪は?

    Twitterにわいせつ画像をアップロードすると、刑法第175条の「わいせつ物頒布等罪」に問われることになります。

    具体的に、どのような画像がわいせつ画像とされているかといえば、時代によってその解釈は異なり得ます。しかし、原則は「性器が明らかに確認できる無修正画像やそれに近い画像」と考えられるでしょう。ただし、性器が確認できたとしても、学術・医学目的であることなど、投稿の正当性が認められる場合は、除外されます。(インターネット・ホットラインセンターの「ホットライン運用ガイドライン」参照)

    「わいせつ」とみなされる画像をTwitter上、つまりインターネット上にアップロードし、不特定多数の人が閲覧できる状態におくことで、わいせつ物頒布等罪が成立します。有罪となれば、「2年以下の懲役」もしくは「250万円以下の罰金」またはその両方が科せられることになります。

  2. (2)併せて問われる罪

    なお、Twitterへのわいせつ画像の投稿は、わいせつ物頒布罪以外にも以下のような法律に触れる可能性があります。特に、わいせつ画像に写っている人物が、18歳未満の児童となると、さらに問われる罪が重くなると考えてよいでしょう。

    (ア)児童ポルノ禁止法
    「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(通称:児童ポルノ禁止法)において、18歳未満の児童が性的好奇心を満たす被写体となっている画像を作成することが厳しく禁じられています。

    「児童ポルノ画像」とは、同法第2条第3項において、以下のように定義されています。

    • 児童を相手方とする、又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
    • 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
    • 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され、又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの


    児童ポルノは、社会的に未成熟な児童の権利を著しく損なうものであるとして、「わいせつ物頒布罪」よりも重い刑罰が規定されています。原則として、「児童の年齢を知らないことを理由にして罪を逃れることはできない」ことも第9条で明記されている点に注意が必要です。

    提供の目的で児童ポルノ画像に該当するわいせつな姿態を撮影した場合「児童ポルノの製造」とされ、「3年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」が科されます。

    そして、児童ポルノ画像をTwitterにアップロードした場合、「児童ポルノを不特定もしくは多数の者に提供し、または公然と陳列」したとみなされます。さらに罪は重く、「5年以下の懲役」もしくは「500万円以下の罰金」またはその両方が科せられます。

    (イ)リベンジポルノ被害防止法
    また、わいせつ画像が過去に交際していた女性のもので、その女性の名誉を傷つける目的でアップロードされたものであれば、いわゆる「リベンジポルノ」にあたります。

    「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称:リベンジポルノ被害防止法)に抵触し、「3年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」が科せられます。

    (ウ)名誉毀損(きそん)罪
    わいせつ画像に写っている本人の承諾なしにアップロードされたものであり、本人の名誉を傷つけるものである場合は、刑法第230条の名誉毀損罪に抵触し、「3年以下の懲役もしくは禁錮」または「50万円以下の罰金」が科せられます。

    たとえば、特定の人物の顔と別のわいせつな画像を合成して、あたかもその女性がわいせつな行為をしているかのように見える画像をTwitterに投稿したら、名誉毀損罪にあたる可能性が高いと考えられます。

2、わいせつ画像のアップだけじゃない、Twitterの注意点

Twitter上で気をつけるべき行動は他にも存在します。ワンクリック、ワンタップでできることが、犯罪行為になりうるのです。

  1. (1)わいせつな画像のリツイートやお気に入りも犯罪?

    自分がアップロードした画像ではなく、他の誰かがアップロードしたわいせつ画像をリツイート、お気に入り登録した場合はどうなるのでしょうか。

    厳密にいうと、これらの行為も犯罪となり得ます。
    違法画像をリツイートやお気に入り登録する操作によって、自分のフォロワーにさらにリツイートされれば、より多くの人が違法画像を目にすることになります。

    つまり、わいせつな画像を拡散する行為を助けてしまったとみなされる可能性があるのです。これは刑法第62第1項で規定されている「幇助(ほうじょ)犯」と判断される可能性があります。ただし、実際に幇助罪が適用された例はごくわずかです。

    しかしながら、わいせつ画像に18歳未満の児童が写っている場合には、より厳しく処罰される可能性があります。

    児童ポルノ規制法では、児童ポルノが拡散されること、つまり「不特定もしくは多数の者に提供し、または公然と陳列」されることを厳しく禁じています。リツイートやお気に入り登録といった行為自体が、児童ポルノの公然陳列行為とみなされる可能性があります。

  2. (2)Twitter上のわいせつ画像を保存するのは違法?

    基本的には、Twitter上で見かけたわいせつな画像を保存する行為だけでは違法とはなりません。しかし児童ポルノ画像を自分の性的好奇心を満たす目的で所持していた場合は「児童ポルノの単純所持」として罰せられます。有罪となれば「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」が科せられることになるでしょう。

    もちろん、親が自分の子どもの成長記録として撮影した乳児の裸の写真などは、「性的好奇心を満たす目的ではない」とみなされ、たとえ所持していても処罰の対象とはなりません。

  3. (3)Twitterでのこの行為、犯罪です!

    わいせつ画像のアップロードばかりが犯罪に該当するわけではありません。

    Twitterを通じて知り合った相手に対し、以下のような行為をしてしまっていたら、罪に問われる可能性がありますのでご注意ください。

    <相手が児童のとき>
    • わいせつな画像を撮らせて送らせる
    • 直接会って性的な行為をする


    <相手がだれであっても>
    • 相手の悪評を広める投稿を行うこと
    • なりすまし
    • 相手が公開していない個人情報を公開する投稿
    • 相手が合意していない状態で顔写真など個人が特定できる投稿すること
    • 相手に対して「殺す」などと脅す
    • 自分が著作権を持たない音声や映像、画像をアップロードする行為
    • 違法にアップロードされた音声や映像、画像をダウンロードする行為

3、犯罪かも? と思ったらまずは弁護士へご相談を

自らの過去のツイートを見返して、「違法行為かもしれない」と思ったら、まずは法律の知識とインターネット犯罪やわいせつ事案の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

Twitterに個人情報を登録していないから大丈夫だと判断するのは早計です。近年では、あらゆる犯罪の捜査上でTwitterの投稿を探り、被疑者の特定につなげています。

また、あなたが、「知らなかったから仕方がない」「これから気をつければ大丈夫」と思っているのであれば、その考えは極めて危険です。日本の法律では「法の不知」を理由に刑罰法令の適用を免れることはできません。

  1. (1)匿名アカウントでも個人を特定することは可能

    たとえ匿名でTwitterを利用していたとしても、前述のとおり、捜査機関は、刑事訴訟法197条第2項を根拠とする「照会」によって、アカウントの身元を割り出すことができます。

    Twitter日本法人からは、どの経路から当該違法画像がアップロードされたのか開示され、その経路にあたる携帯電話会社やインターネットプロバイダ事業者からは契約者情報が開示されることになるでしょう。

    捜査機関の「照会」が通れば、1枚の画像から個人を特定することはさほど難しいことではないのです。

  2. (2)被害届や告訴がなくても捜査対象となる可能性はある

    さらに各都道府県警察は、Twitter上で犯罪の可能性のあるツイートがなされていないかチェックする「サイバーパトロール」に力を入れています。

    犯罪のおそれがあるとみなされた場合は、第三者からの通報がなくても、捜査が開始される可能性があります。

  3. (3)必要な場合は示談交渉を行う

    あなた自身に犯罪行為をした自覚と反省があり、被害者が特定できているのであれば、弁護士を通じて示談交渉を行うことで、事態を早期に解決できる可能性があります。

    示談とは、当事者同士の話し合いを通じて事件を解決しようとすることを指します。刑事事件における示談では、加害者は被害者に対し謝罪と補償を行い、被害者は被害届や告訴を取り下げて罪を問わないという約束を交わすことを目指すことになります。

    弁護士が代理人として示談交渉にあたることで、示談成立の可能性は格段に高まります。弁護士であれば、賠償額の相場や被害者の処罰感情に留意した交渉の進め方など、ノウハウを蓄積しているためです。

    示談が成立している事案は、逮捕にいたった場合でも当事者間で解決がなされているとして、前科のつかない不起訴処分にとどまる可能性が高くなります。

4、まとめ

たとえ軽い気持ちが発端であっても、インターネット上に拡散した情報をなかったことにすることは不可能に近いことです。自分のわいせつ画像が万が一、自分の身元がわかる状態でネットに拡散されたらと考えると、その恐ろしさや精神的苦痛は容易に想像できるのではないでしょうか。

もしも、Twitterを通じて誰かに被害を与えてしまったかもしれないと考えるときには、弁護士に相談してください。弁護士には守秘義務がありますので、内容を外部に漏らすことはありません。

児童ポルノ禁止法に抵触する行為であれば、重い罪を科される可能性もありえますので、弁護士のサポートが必要不可欠となるでしょう。早期に相談することによって、事態をより良い方向へ導くことができます。

ベリーベスト法律事務所・千葉オフィスでは、刑事事件の経験が豊富な弁護士が、状況に合わせて取るべき策をご提案します。少しでも不安に感じることがあったら、迷わずご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています