浮気の証拠をつかみたい!離婚慰謝料請求で有利になる証拠のポイントと注意点
- 不倫
- 浮気
- 証拠
- 慰謝料請求
- 有利
千葉市保健統計によれば、平成29年中に千葉市へ届け出られた離婚の件数は1564件でした。届出月別では、千葉市では3月の届け出がもっとも多いことがわかっています。離婚原因は浮気などさまざまかと思いますが、季節や年度の変わり目を節目として離婚届を提出される方が多いのかもしれません。
すでに離婚を決意されている方であれば、今後の生活維持やリスタートを切るためにも慰謝料をもらいたいと考えている方も多いことでしょう。しかし、慰謝料を請求するためには、相手側が浮気などの離婚原因となる行動をした「有責配偶者」であることを証明できる証拠が必要です。
本コラムでは、離婚や慰謝料請求において有利になる証拠について、ポイントや注意点を千葉オフィスの弁護士が解説します。
1、離婚慰謝料請求で有利になる浮気の証拠とは?
離婚や慰謝料請求をお考えであれば、まずは「一般論としての浮気」と、法律に定められている「不貞行為」を分けて考える必要があります。
一般論として、浮気と感じる境界線には個人差があります。
キスや抱擁、「愛しているよ」と書かれたLINE、2人で腕を組んで歩いていたなどのケースで浮気と感じる方は少なくないでしょう。逆に、性交渉をしても浮気ではないと思う方もいるかもしれません。
しかし、民法上において離婚や慰謝料請求の根拠となる「不貞行為」とは、具体的な行為としては、配偶者以外の異性と自由な意志で肉体関係を結ぶことを指します。
もし、あなたの配偶者が不貞行為をしていたことを根拠に、離婚や慰謝料請求を行うことを考えているのであれば、まずは不貞行為の証拠、つまりあなたの配偶者があなた以外の異性と肉体関係があることを明らかにした証拠を準備したほうがよいでしょう。
なぜなら、相手が不貞行為したことを認めず、慰謝料の支払いなどを拒んだ場合、裁判で争うことになる可能性があり、その際には、慰謝料を請求したあなたが証拠を提示しなければならないためです。
具体的に肉体関係を裏付ける証拠となるのは次のようなものです。
- 2人でラブホテルに出入する際の動画、写真
- 性的内容に触れたLINEやメール
- ラブホテル利用の領収書、クレジットカード明細書
- 配偶者または浮気相手の自白(文書や録音)
原則、肉体関係があったことを証明できなければ、離婚や慰謝料請求をすることは難しいと考えたほうがよいでしょう。
離婚や慰謝料を希望するのであれば、確実な証拠をつかむ必要があります。
2、1度だけの浮気だと有利な証拠とならない?
たった1度でも、配偶者が自分以外の人と肉体関係を持ったのであれば、精神的なショックは大きいはずです。
しかし、残念ながら1度の浮気では、離婚や慰謝料が認められないことは珍しくありません。
まず、離婚についてですが、配偶者が「気の迷いで1回だけ別の異性と関係を持ったが、離婚はしたくない」と離婚を拒否することが考えられます。
裁判になった場合でも、裁判所は「婚姻関係が破たんした」とまでは判断せず、離婚を認めないことがあるでしょう。
慰謝料請求についても、継続した不貞関係ではない以上、精神的苦痛の度合いや家庭への影響が低いと判断されます。慰謝料が獲得できたとしても低額になる可能性が高いでしょう。
反対に、何度も長期的に不貞している証拠があれば、慰謝料の額も高額になると考えられます。
3、浮気の証拠を集める前に知っておくべき注意点
有利な証拠集めをするために、気を付けたいポイントも押さえておきましょう。
-
(1)慰謝料請求に必要なことを知っておく
慰謝料とは、相手の不法行為によって精神的な苦痛を受けたときに請求できるものです。「離婚=慰謝料がもらえる」わけではなく、相応の根拠を提示して請求する必要があります。
たとえば、次のようなケースでは慰謝料が請求できないか、できたとしても低額になってしまいます。慰謝料が請求できない、または低額になってしまうケースの一例
- 婚姻関係が破たんしたあとに不貞があった
- 自身に落ち度があった(配偶者へのDV、モラハラなど)
- すでに十分な慰謝料を受け取っている
- 慰謝料請求の時効を過ぎてしまった
また、浮気相手に対して慰謝料を請求する場合でも、不貞の事実があれば必ず慰謝料が支払われるわけではありません。
たとえば、相手が既婚者とは知らずに肉体関係を持った、肉体関係を持つことを強要されていた場合など、浮気相手に故意や過失がなければ慰謝料を請求しても認められません。
そうしたことも考えて、慰謝料を誰に請求するのか、決める必要があります。 -
(2)法に抵触する行動をしないこと
離婚慰謝料の請求を有利に進めるためにも、あなた自身が不法行為を犯さないように気を付ける必要があります。
万が一あなたが証拠を集めるために、不法とも受け取れる手段を使った場合は、反対に相手方から訴えられてしまうリスクがあります。
法に抵触する可能性がある代表的な行動は以下のとおりです。法に抵触する可能性がある証拠の集め方の一例
- 別居中の配偶者宅に侵入して浮気の証拠集めをする(住居侵入罪)
- 配偶者のスマホのパスワードを盗み見て無断で操作する(不正アクセス禁止法違反)
- 浮気相手の職場に不貞の事実を知らせるメールを送信する(名誉毀損(きそん)罪)
- 浮気相手を脅迫して不貞を認めるという内容の書面を作成させる(強要罪)
有利になる浮気の証拠集めをしようと感情的になり、つい過激な行動にでてしまわないように注意しましょう。
-
(3)証拠集めを気づかれないこと
浮気を疑い証拠集めをしていることは、配偶者や不貞相手に気づかれないようにしなくてはなりません。
通常、もっとも警戒するのはあなたの配偶者です。あなたが証拠集めに奔走していることに配偶者が気づくと、配偶者の警戒心は強まり、証拠を隠滅される可能性もあります。
証拠集めを気づかれずに遂行することは難しい面がありますので、探偵や興信所などの調査のプロに依頼することも有効な方法のひとつです。
費用はかかりますが、確実に有利になる証拠を得られる可能性が高まります。
4、浮気の証拠を集めたあとの対応について
離婚慰謝料の請求で有利になる浮気の証拠が集まったあとは、いよいよ具体的な交渉に進みます。
主な方法は
- 自分で証拠を示して離婚の申し出と慰謝料を請求する
- 弁護士経由で交渉する
の2つです。それぞれのメリット、デメリットを見てみましょう。
-
(1)自分で証拠を示して離婚の申し出と慰謝料を請求する
ご自身で証拠を示して離婚の申し出と慰謝料を請求する場合、相手方が素直に応じてくれれば非常にスムーズに解決を迎えるでしょう。
その際、費用がかからない点が最大のメリットです。
しかし、現実には、なかなかうまくいかないことがよくあります。
自分で慰謝料を請求する場合に失敗するケースが多いのは次のような理由からです。自分で慰謝料を請求する場合に失敗するケースの一例
- 感情的になり法外な額を請求してしまう
- 最初の請求額をかたくなに譲らない
- 解決を焦り相手の反抗を促してしまう
場合によっては交渉が決裂するだけでなく事態が泥沼化し、裁判に発展してしまう可能性があります。裁判になれば結論が出るまで長期間争うことになるケースは少なくありません。
長期化すればするほど、相手が弁護士を立てる可能性が高まります。相手が弁護士を立てた場合、個人で対抗していくことは非常に難しいでしょう。
離婚問題に対応した経験が豊富な弁護士を相手に個人で対応しようとしても、交渉で不利になる可能性があります。 -
(2)弁護士経由で交渉する
弁護士経由で交渉すれば法律的な観点から離婚や慰謝料請求を有利に進めていくことができます。
相手の出方を探っていて時間だけが経過してしまうこともなく、相手と直接顔をあわせる必要もありません。たとえ相手が弁護士を立てたとしても、気後れする必要はありません。
仮に決定的な証拠がなかったとしても、交渉の代理人として弁護士を立てることで相手に本気の度合いが伝わり、その時点で浮気を認め、慰謝料請求に応じることもあります。
芸能ニュースで慰謝料1億円といった話題を耳にすることがありますが、多くが話し合いで決着したものと推測されます。
なお、証拠を集める前に弁護士に相談しておくことで、証拠集めの際の注意点や裁判で有利になる証拠は何なのかなどのアドバイスを受けることができます。
証拠集めの労力が無駄に終わらず、実際の裁判で有利になる証拠を集めることができる点は大きなメリットです。
唯一のデメリットは費用がかかることですが、支払いが難しい場合には依頼内容を厳選するなどの方法もあります。
費用をかけずに離婚や慰謝料請求をしようとした結果、時間と労力をかけても解決できず、結局は弁護士に依頼することになる人も多いため、慎重な判断が必要になると心得ておきましょう。
5、まとめ
今回は離婚や慰謝料請求を有利に進めるための浮気の証拠について、ポイントや注意点を解説しました。自分では有利になると思っていても、法律上は認められない証拠が数多くあります。
まずは、有利になる証拠の種類や証拠集めの際の注意点を知っておき、冷静に対応することが求められます。早い段階で弁護士のアドバイスを受けておくことも、今後の対応をスムーズに行うための力となるでしょう。難しい場合は、すべて依頼してしまうこともひとつの手です。
離婚や慰謝料請求を有利に進めたいとお考えであれば、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスで相談してください。
離婚や慰謝料請求に対応した実績が豊富な弁護士が、状況に適したアドバイスを行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています