弁護士のサポートで損害賠償請求を円滑に!弁護士に依頼するメリットとは
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平成30年7月、ショーなどに出演していた女性2名が勤務中に過重労働やパワハラなどによって心身に苦痛を受けたとして、千葉県内にある運営会社に対して損害賠償を求める訴訟を提起したというニュースがありました。
このように勤務先でのパワハラや、予期せぬ交通事故に巻き込まれたことによって、何かしらの被害を受けた場合、加害者に損害賠償を請求したいと思われる方は多いでしょう。
しかし、具体的にどのようにして、相手に被害額を請求すればいいのか、わからないことも多いのではないでしょうか。
そこで、本コラムでは損害賠償請求について、千葉オフィスの弁護士が解説します。
1、損害賠償請求とはなにか?
損害賠償請求とは、他人によって損害を与えられた場合に、損害を与えられた被害者が加害者に対し、その損害についての賠償を請求することです。
法的には、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求と、民法415条の債務不履行に基づく損害賠償請求が多いと思います。
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(1)不法行為に対する損害賠償請求
不法行為は故意、または過失によって、他人の権利や法律上保護される利益を侵害する行為をいいます。
たとえば、職場で口論になり、相手を殴って怪我をさせてしまった場合や、交通事故で誰かを傷付けてしまった場合が該当します。
これらの行為によって、加害者は被害者に治療費・修理費などの損害を賠償する責任を負うのです。 -
(2)債務不履行に対する損害賠償請求
債務不履行は、契約における約束を守らず、それによって損害が発生した場合のことをいいます。
たとえば、借りたお金を返さないという場合も、金銭消費貸借契約の契約違反、つまり債務不履行にあたります。 -
(3)損害賠償と慰謝料との違い
なお、損害賠償に類似した言葉に慰謝料があります。
両方とも、加害者が被害者に金銭を支払うという部分は共通していますが、損害が精神的なものかどうかで違いがあります。
①損害賠償
損害賠償は、被害者が被った損害の補てんを目的としています。
そのため、パワハラによるカウンセリングの治療費や、休職した場合の生活費などが損害賠償請求できます。損害賠償は数字で算出できることが多く、それについて裁判所が妥当だと判断すれば認められますし、示談などでも双方が納得する金額であれば支払われることになります。
②慰謝料
これに対して慰謝料は、精神的な損害、いわゆる苦痛に感じたことへの金銭的な謝罪になります。
交通事故の被害が原因で精神的負担を強いられた場合や、治療をしたが後遺障害が残ってしまった場合の後遺障害に対する精神的苦痛などを慰謝料として請求することができます。
なお、精神的苦痛は金額に換算することが非常に難しいため、ある意味金額の基準がないとも考えられます。そのため、被害者はある程度大きな金額を請求することもできます。
加害者が納得すれば、請求した金額で慰謝料を支払ってもらうことができますが、折り合いがつかなければ裁判で争い、裁判所が妥当だとする金額を加害者が支払うように命じることで解決に至ります。
高額な金額を請求したとしても額面通りの慰謝料を獲得することは、非常に難しい場合が多いでしょう。
2、損害賠償はどのような場合にできる?
実は、何らかの被害が発生して、その原因と結果が明らかである場合でも、必ずしも被害者が加害者に損害賠償請求ができるとは限りません。
そこで、ここでは損害賠償請求ができるケースとできないケースを具体的にご紹介します。
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(1)損害賠償請求ができるケース
損害を賠償請求することができるケースは、相手の行為に落ち度があり、それが原因で被害(損害)が発生したといえる場合になります。
たとえば、突然突き飛ばされて怪我をしてしまったようなケースでは、加害者はふざけてした行為だとしても突き飛ばしたら転ぶ可能性は十分予測できたと考えられるため、加害者に落ち度があり、責任を負うべきだと判断されます。
パワハラなどでも精神的苦痛の他、業務に支障が出ることなども予測できるため、損害賠償請求ができる可能性があるでしょう。
さらに、債務不履行などの場合は、相手に契約違反があった場合に損害賠償請求ができます。
たとえば、お金を貸したのに返してもらえない、1週間後までに品物を用意してほしいと注文したにもかかわらず用意してもらえなかった、などのケースが考えられます。 -
(2)損害賠償請求ができないケース
損害賠償の責任が生じるためには、加害者側の故意、または過失が必要です。
つまり、相手の責任となる落ち度(ミス)がまったくなかった場合には、損害賠償請求は認められません。
たとえば、引き渡す予定だった芸術作品が大きな自然災害によって失われ、引渡しできなくなった場合など、損害賠償請求ができないケースに該当します。
このような場合には保険による解決も考えられますが、保険と損害賠償請求は少し性質が違いますので、自然災害による損失が生じた場合には保険を利用する方法があるということだけはここでは確認していただければと思います。
このように、損害が予見できない天災で生じた場合は、契約を守ることに対して責任を負うことがないため、損害賠償を請求しても認められることはないでしょう。
ただし、予見があったにもかかわらず対策をしなかった、対策をする予定だったのにされていなかったなどのケースでは損害賠償請求ができる可能性が出てきます。
3、損害賠償請求の進め方は?
さて、実際に損害賠償請求するためには、どのような手続きで進めればよいのでしょうか。
一般的には、損害賠償請求は当事者同士の交渉から始まります。
たとえば、最初に挙げたパワハラのケースでも、パワハラを受けたからといっていきなり裁判に発展することはなく、まずは被害者と加害者が話し合い、お互いに納得できる金額を決めることになります。
その際には、パワハラが原因でカウンセリングを受けた費用や、休まざるを得なくなった期間の給与の補てんなどが被害金額になります。
つまり、加害者の行為によって発生した金額を、損害として賠償請求するのです。
また、損害賠償請求とは別に、精神的な苦痛について慰謝料を請求できます。
こうした話し合いを「示談交渉」と呼びます。
示談交渉を行う中で、双方が合意に至れば「示談契約」を結び、加害者が被害者に金銭を支払って解決となります。
しかし、加害者が「請求金額が高い」、もしくは「加害行為を認めない」と主張したなどの理由で、当事者同士では合意に至らないケースは少なくありません。
そのときは、調停を利用したり、第三者機関に間に入ってもらったりすることで解決を図ることになります。
それでも解決しない場合は、いよいよ裁判を通じて加害者に対して損害賠償請求を行うことになります。
4、損害賠償請求を弁護士に依頼するメリット
損害賠償請求事件において、弁護士に依頼するメリットはたくさんあります。
まず、加害者と直接交渉しなくてもよくなり、人間関係がこじれてしまう心配や、加害者と直接やりとりをするという苦痛から解放されます。
また、法律の専門家であり、第三者である弁護士が間に入ることによって、互いに冷静さを取り戻して、話し合いをスムーズに進めることができるという利点もあります。
さらに、その他の慰謝料などの請求についても交渉してもらえるため、自分で直接交渉するよりも多くの金額を得ることが期待できます。
もちろん、裁判に発展した場合でも、裁判の準備から裁判所への出廷まですべてを弁護士に任せることができます。
このように、弁護士のサポートがあると手続きが格段にスムーズに行えるため、損害賠償を請求する際には、弁護士に相談することをおすすめします。
5、まとめ
損害賠償を請求するためには、損害の発生に対し、相手の行為に故意や過失などの責任があることを請求する側が証明しなくてはいけません。
したがって、自分が受けた損害の責任が相手にあると主張しても、認められないケースもあります。その一方で、思ってもみなかった責任の所在が判明し、多額の賠償金が得られる場合があるかもしれません。
被害を受けた際は、パニックになってどうすればいいかわからないケースが多いでしょう。個人で対応しようとして、問題がこじれてしまったり、あなた自身が不利になってしまったりするケースも少なくありません。
だからこそ、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
まずは、必要な手続きや証拠集めなど、適切なアドバイスを受けることができます。
契約などのトラブルで相手に損害賠償を請求したい方は、まずはひとりで行動を起こす前にベリーベスト法律事務所・千葉オフィスで相談してください。
紛争事件の解決向けた知見が豊富な弁護士が、全力でサポートします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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