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パワハラの被害にあったら? 訴え方の基礎知識を解説

2022年05月20日
  • 労働条件・ハラスメント
  • パワハラ
  • 訴え方
パワハラの被害にあったら? 訴え方の基礎知識を解説

千葉労働局の発表によると、令和元年度に寄せられた個別労働紛争の相談件数のうち、職場でのパワハラ(パワー・ハラスメント)を含む「いじめ・嫌がらせ」は2889件であり、前年度比262件の増加で過去最多となりました。相談が増えた背景として、いわゆる「パワハラ防止法」(労働施策総合推進法第30条の2以下)により、大企業にパワハラ対策が義務付けられた点があることが指摘されています。

職場でパワハラの被害を受けた場合、訴訟などを通じて、会社や加害者に損害賠償を請求できる可能性があります。必要に応じて弁護士にご相談のうえ、ぜひご自身の権利回復のために行動してください。

本コラムでは、パワハラにあたる行為の例や、パワハラ被害について会社や加害者を訴える方法などについて、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、パワハラとは? 定義・違法性について

まずは、パワハラの定義および法律上の違法性について、基本的な知識を解説します。

  1. (1)法律上のパワハラの定義

    令和2年6月1日より、労働施策総合推進法第30条の2から第30条の8の規定が新たに施行されました(正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)。

    これらの規定は「パワハラ防止法」と呼ばれ、パワハラにあたる行為を法律上定義したうえで、事業主が講ずべき措置などのルールを定めている点に特徴があります。

    パワハラ防止法の下では、以下の3つの要件を満たす行為が「パワハラ」にあたるとされています。

    1. ① 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であること
    2. ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
    3. ③ 労働者の就業環境が害されること


    事業主は、パワハラによって労働者の就業環境が害されることのないよう、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません(同法第30条の2第1項)。

    なお、パワハラといえば「上司から部下に行われるもの」というイメージが持たれがちですが、それに限らず、以下のような言動も「優越的な関係を背景とした言動」に該当して、ひいてはパワハラにあたる可能性があるのです。

    • 集団から個人に対する言動
    • 専門性を有する労働者から、そうでない労働者に対する言動
  2. (2)パワハラの違法性

    パワハラにあたる行為自体は、労働者に対して違法に身体的・精神的な損害を与えるものとして、民法上の不法行為(民法第709条)に該当する可能性があります
    また、悪質なパワハラ行為については、暴行罪(刑法第208条)・傷害罪(刑法第204条)・名誉毀損罪(刑法第230条第1項)・侮辱罪(刑法第231条)など、刑法上の犯罪にあたるケースもあります。

    さらに、従業員によるパワハラ行為があった場合、安全配慮義務違反(労働契約法第5条)や使用者責任(民法第715条第1項)の形で、会社に対しても損害賠償を請求することが可能です。

2、パワハラにあたる行為の具体例|厚生労働省が提示する6類型を紹介

具体的にどのような行為がパワハラにあたるのかについては、厚生労働省が6つの類型を示しています。
以下では、厚生労働省の類型にしたがいながら、パワハラにあたる行為の具体例を紹介します。

  1. (1)身体的な攻撃

    「身体的な攻撃」とは、被害者に対して暴行を加える行為をいいます。

    <身体的な攻撃の例>
    • 相手を殴る行為
    • 相手を蹴る行為
    • 相手に対して物を投げつける行為
  2. (2)精神的な攻撃

    「精神的な攻撃」とは、相手を脅したり、人格を傷つける言動を行ったりすることで、精神的な損害を与える行為をいいます。

    <精神的な攻撃の例>
    • 相手の人格を否定する言動
    • 相手の性的志向や性自認を侮辱する言動
    • 業務上必要な範囲を超えて、相手を長時間厳しく繰り返し叱責(しっせき)する行為
    • 他の従業員の面前で、相手を威圧的に繰り返し叱責する行為
    • 相手の能力を否定し、罵倒する内容のメールを、宛先やCcに他の労働者を入れて送信する行為
  3. (3)人間関係からの切り離し

    「人間関係からの切り離し」とは、業務上合理的な理由がないにもかかわらず、相手を職場の人間関係から切り離そうとする行為をいいます。

    <人間関係からの切り離しの例>
    • 正当な理由なく、相手に長期間にわたる別室隔離や自宅研修を強いる行為
    • 集団で結託して相手を集団で無視し、職場で孤立させる行為
  4. (4)過大な要求

    「過大な要求」とは、相手の能力では到底対応できない困難な業務や、明らかに不要な業務を強制することをいいます。

    <過大な要求の例>
    • 勤務に直接的な関連性を持たない、肉体的に大きな苦痛を伴う作業を命ずる行為
      (例:正座1時間)
    • 新卒従業員に厳しすぎる業績目標を課し、達成できなかったことを厳しく叱責する行為
    • 業務とは無関係の私的な雑用を強制的に行わせる行為
      (例:お茶くみ、たばこの買い出し)
  5. (5)過小な要求

    「過小な要求」とは、労働者の能力に見合った業務を与えず、やりがいを奪ったり、間接的に退職を促したりする行為をいいます。

    <過小な要求の例>
    • 管理職経験のある従業員に、延々と単純作業のみを強いる行為
    • 嫌がらせ目的で相手に全く仕事を与えない行為
  6. (6)個の侵害

    「個の侵害」とは、相手のプライベートな事柄について、過度に干渉する行為をいいます。

    <個の侵害の例>
    • 相手を職場外で継続的に監視する行為
    • 相手の私物の写真を撮影する行為
    • 性的指向・性自認や病歴、不妊治療などの個人情報を、本人に無断で他の従業員に暴露する行為

3、パワハラを受けた場合の主な相談先

上司や同僚などからパワハラを受けた場合には、社内外の相談窓口へ速やかに相談することが大切です。
具体的な状況に応じて、以下のいずれかの窓口に相談してください。

  1. (1)上司や人事部に相談する

    パワハラの程度が軽微な場合には、社内の窓口に相談すれば、穏便に解決が図れる場合があります。

    基本的には、まず上司に相談することが一般的です。
    上司本人や、上司に近い従業員が加害者である場合には、人事部などに相談するとよいでしょう。

  2. (2)都道府県労働局や労働基準監督署に相談する

    都道府県労働局や労働基準監督署では、労働者からの相談を幅広く受け付ける「総合労働相談コーナー」を設けています。

    総合労働相談コーナーではパワハラについての相談も受け付けており、その後の対処法についてアドバイスを受けることができます。

  3. (3)弁護士に相談する

    パワハラの被害が深刻な程度に至っている場合には、弁護士に相談してアドバイスを求めることが有効です

    弁護士に相談すると、会社に対してパワハラ防止措置を講ずることを直接申し入れてもらったり、会社や加害者に対する損害賠償請求をサポートしてもらったりすることができます。労働審判や訴訟など、法的手段に訴えるかどうかについても、弁護士と相談しながら検討することができます。
    労働者の代理人として、パワハラ被害から救うための直接的な行動をとれる点が、弁護士に相談することの最大のメリットです。

4、パワハラの訴え方は?

深刻なパワハラ被害にあっている場合には、会社や加害者に対して損害賠償請求訴訟を提起することも検討できます。
以下では、パワハラの訴え方に関する基本的な流れや知識を解説します。

  1. (1)まず弁護士に依頼するのがおすすめ

    パワハラに関する訴訟を提起する場合、弁護士に依頼することをおすすめします

    訴訟は専門的かつ複雑な手続きであり、準備に要する手間は膨大です。
    弁護士に依頼することで、訴訟準備の手間を削減しつつ、法的な根拠のある主張を展開できるメリットがあります。

  2. (2)訴訟提起の必要書類・費用

    パワハラに関する訴訟を提起する場合、裁判所に訴状を提出する必要があります。

    訴状の提出先は、原則として、相手方(会社・加害者)の住所地を管轄する簡易裁判所または地方裁判所です。
    ただし、不法行為(使用者責任)を根拠とする場合には、ご自身の住所地を管轄する裁判所に訴状を提出することもできます(民事訴訟法第5条第9号)。

    なお、訴状には訴額に応じた印紙を貼付することが求められます。

    訴額 印紙代
    100万円までの部分 10万円ごとに1000円
    100万円から500万円までの部分 20万円ごとに1000円
    500万円から1000万円までの部分 50万円ごとに2000円
    1000万円から1億円までの部分 100万円ごとに3000円


    また、訴訟提起の際には、訴状と併せて以下の書類等を提出する必要があるのです。

    1. ① パワハラの事実や発生した損害に関する主張を記載した書面
    2. ② ①の主張を裏付ける証拠
    3. ③ (会社に対する請求の場合は)会社の履歴事項全部証明書
    4. ④ 郵券
  3. (3)口頭弁論期日での主張・立証に関する注意点

    訴訟では、公開の法廷で行われる口頭弁論期日において、パワハラ被害を裏付ける事実を、証拠によって立証する必要があります。

    不法行為・使用者責任・安全配慮義務違反などの要件をふまえて、パワハラ被害の事実を適切に立証するためには、法律に関する正しい知識が必要不可欠です
    弁護士にご依頼いただくことで、訴訟における主張や立証を、専門知識に基づきながら効果的に行うことができます。

5、まとめ

パワハラの被害にあった場合、速やかに社内外の相談窓口に相談して、被害の解消に向けたアドバイスを受けることが重要です。
パワハラ被害の程度がひどい場合は、弁護士にご相談のうえ、慰謝料の請求や訴訟についてもご検討ください

ベリーベスト法律事務所では、パワハラ被害にあった労働者の方を救うため、会社へのクレームや、会社・加害者に対する損害賠償請求などをサポートいたします。
千葉県でパワハラ被害にお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスまで、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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