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相続と遺贈の違いとは? 弁護士が解説します

2019年07月29日
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相続と遺贈の違いとは? 弁護士が解説します

平成29年の「家事審判・調停事件の事件別新受件数・家庭裁判所別」の表によると、家庭裁判所で取り扱う「遺言書の検認」という項目では、関東圏では東京、横浜についで、さいたまを抜いて3番目に千葉が多いというデータが出ています。

今すぐに相続というわけではなくても、いつ贈与者(遺言者)になるかわかりません。将来に備えて相続について準備しようにも、不安を持つ人も多いでしょう。相続と遺贈の違いひとつとっても、どのような違いがあるのかについてわからない方もいらっしゃると思います。そんな方に向けて、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が相続と遺贈の違いを簡単に解説します。

1、相続と遺贈との違いとは?

法律の知識がない多くの方は、遺贈も相続も同じもののように思ってしまうかもしれません。しかし、法的には明確な違いがあります。

  1. (1)相続の意味

    相続とは亡くなった方(被相続人)の権利義務を相続人に包括的に承継させることをいいます。

    民法第900条には以下のように相続のルール「法定相続分」が定められています。

    民法第900条(法定相続分)
    同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
    一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
    二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
    三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
    四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

  2. (2)遺贈の意味

    民法には,相続が開始した場合における法定相続人の範囲や法定相続分の割合が決められています。そのため、法定相続人ではない方に財産を移転させる場合は、「相続させる」とはいいません。

    遺言によって財産を無償で譲ることを「遺贈」といいます。この場合、譲る相手(以下「受遺者」といいます。)は法定相続人である必要はありません。つまり、血縁関係になくてもよいということです。

    たとえば「世話になった看護師や介護士に財産を譲りたい」という場合にそのような内容を記載した遺言がありますと、遺贈となります。このように、亡くなった後に財産を移転させるにあたり、血縁による制限をもうけていないことが、相続と遺贈のもっとも大きな違いといえるでしょう。

    なお、法定相続人に対しても「遺贈する」と指定することができます。つまり、法定相続人に対しては「遺贈」も「相続」もできるというわけです。

2、遺贈には種類がある

遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。ふたつの違いについて、以下に解説します。

  1. (1)包括遺贈

    遺贈の中でも包括遺贈とは相続財産の割合を指定して遺贈させる方法です。ただし、注意が必要な点があります。包括遺贈では、遺贈の割合によって包括受遺者(遺産を包括遺贈される人)が借金などの債務も承継させられるからです。

    また、包括遺贈を受けた方(ただし,遺産全部を包括遺贈された方を除く。)は遺産分割協議に参加する必要があり、他の相続人たちと遺産の分け方を話し合うことになります。他の相続人と顔を合わせることが難しい場合は、弁護士を代理人として話を進めることができます。依頼を検討してもよいでしょう。

    包括遺贈を放棄するときは、家庭裁判所に申述が必要です。遺贈放棄の期限は、遺贈されたことを知ってから3ヶ月以内となっています。借金がある可能性もあります。しっかりとチェックしておきましょう。

  2. (2)特定遺贈

    「特定遺贈」とは、その名前のとおり特定の財産を指定して遺贈させる方法です。先に解説した「包括遺贈」と決定的に違う点は、借金などの債務が継承されない点にあります。

    特定の資産のみが承継されることになるため、特定遺贈された財産は対象相続財産から、最初からはずれることになります。そのおかげで法定相続人ではない受遺者は,遺産分割協議に参加する必要はありません。相続人から一定の距離をおける財産移転の仕方となるでしょう。

    特定遺贈を受けた方は、放棄するかしないかを自由に選択できます。ただし、遺贈義務者やその他の利害関係人から、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をされた場合は、特定遺贈を受けた方がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなされますので、ご注意ください。

3、相続と遺贈のメリットとデメリットの違い

相続と遺贈、それぞれにメリットとデメリットの面でも違いがあります。

  1. (1)相続のメリットとデメリット

    【税金メリット】
    被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者であれば、相続税の二割加算がありません。また、不動産を相続する場合,所有権移転登記を行うための登録免許税は発生しますが、不動産取得税は発生しません。そのほかにも減税制度を利用できることがあります。

    【不動産のメリット】
    相続では不動産の名義変更(所有権移転登記)が、該当の不動産を相続した者のみで行えます。
    賃家権や貸地権があった場合、相続であれば賃貸人の承諾が必要ありません。

    【相続が受け継がれるメリット】
    遺贈では受遺者として指定された方が被相続人より先に亡くなれば、受遺者として指定された方の相続人に引き継がれることはありません。しかし、相続の場合は亡くなった相続人の子どもや孫にその権利が受け継がれます(代襲相続)ので,たとえ対象者を決めておかなくても、権利自体が消えてしまうことはありません。

    【相続のデメリット】
    相続では、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も受け取ることになります。マイナスのほうが多い場合は、相続放棄の手続きをしたほうがよいでしょう。相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申請しなければ、単純承認をしたものとみなされ、借金まで背負いこむことになります。

  2. (2)遺贈のメリットとデメリット

    【税金デメリット】
    遺贈を受けた場合は、贈与税ではなく相続税が適用されます。あくまで生きている人間からの場合だけが、贈与税になるためです。被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の者が財産を受け取った場合の相続税は、通常20%の金額を加算した相続税が課せられることになります。もちろん基礎控除を超えた分にかかる相続税であり、基礎控除の計算方法は相続と遺贈とでは違いがありません。

    また、遺贈では相続では発生しない不動産取得税が発生します。ただし、包括遺贈の場合は発生しません。
    登録免許税の税率も、相続とは割合に違いがあります。相続では0.4%なのに対して、特定遺贈の場合は登録免許税が2%もかかります。なお,法定相続人でありながら遺贈された場合の登録免許税は,平成18年の改正によって、相続のときと同様に0.4%が適用されるようになりました。

    【不動産デメリット】
    不動産を遺贈された場合、遺贈を受けた者が不動産の名義を変更する必要があります。また、相続であれば単独で名義変更できるのに比べて、遺贈の場合は、相続人全員との共同申請する必要があります。つまり、相続人全員の署名・押印が登記書類に必要になるということです。大変な労力であり、スムーズにはいかないこともあるでしょう。

    もしも、賃家権や貸地権があった場合、遺贈ですと賃貸人の承諾が必要です。

    【遺贈が無効になるデメリット】
    遺贈は、場合によっては無効となるケースがあります。遺留分を侵害していた場合には、遺留分減殺請求されるかもしれません。また、遺贈を受ける人が、被相続人よりも先に亡くなってしまった場合は遺贈の効力は生じません。

    また、農地を相続人以外の方に特定遺贈された場合、農地法3条許可申請が必要となり,農業を営んでいる方でないと取得できません。しかし,相続であれば、関係ありません。

    【相続放棄のメリット】
    包括遺贈の場合は相続同様、相続放棄するためには家庭裁判所への申述が必要となります。また、期限が過ぎると、場合によっては借金まで背負うことになりますので注意が必要となります。

    しかし、特定遺贈の放棄に方式の定めはありませんので、遺贈義務者に対して放棄する旨の意思表示をすれば足ります。遺贈義務者やその他の利害関係人は,相当の期間を定めて,その期間内に遺贈を受けた方に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることが可能です。この場合に,遺贈を受けた方がその期間内に何ら意思表示をしないと、遺贈を承認したものとみなされてしまうので注意してください。

4、法定相続人以外の方に財産を残したいときの方法

法定相続人ではない方に相続をさせたいと思うこともあるでしょう。たとえば法定相続人には息子の配偶者は含まれません。しかし、面倒をみてくれたのは息子の配偶者というパターンは多いはずです。もし、そのお礼を込めて財産を渡したいと思うのであれば、事前に遺言書から準備しておくことをおすすめします。ただし、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分がありますので、遺留分減殺請求をされてしまうとすべて遺言の通りになるわけではありません。

特定の方に財産を渡す方法には「遺贈」のほかにもいくつか方法があります。遺贈と似ているものに「死因贈与」というものもあります。遺贈は遺産を受け取る側が知らなくても成立する形式ですが、「死因贈与」は受け取る側との契約が必要です。もちろん、死因贈与にもメリットやデメリットはあります。

また、養子縁組をして法定相続人に入れてしまうというのもひとつの方法です。ほかにも生命保険や生前贈与を組み合わせる方法もあるでしょう。

遺言書に「遺贈」と書くか「相続」と書くかでも、税金で大きな違いが出ることになります。いかに相続税を余計にとられずに、多くの財産を特定の人に移転させるかの詳しい方法は、弁護士や税理士に相談したほうがよいでしょう。専門家の知見を頼らずやり遂げることは難しいものです。

5、まとめ

今回は、相続と遺贈との違いにスポットをあてて解説しました。

遺産相続では通常でももめることが多いものです。第三者に財産を移転したいときには、慎重に準備をしておいた方がいいでしょう。相続でお困りのときには、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスにお気軽にご相談ください。相続問題に対応した経験が豊富な弁護士が、あなたに適切なアドバイスを行います。

ご注意ください

「遺留分減殺請求」は民法改正(2019年7月1日施行)により「遺留分侵害額請求」へ名称変更、および、制度内容も変更となりました。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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