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成年後見制度とは? 親が認知症を患ったら制度を利用すべき?

2021年12月23日
  • 遺産を受け取る方
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成年後見制度とは? 親が認知症を患ったら制度を利用すべき?

千葉県内の各種機関では、認知症などにより判断能力が低下した方やそのご家族に向けて、成年後見人等の紹介・手続支援・相談などを受け付けています。

ご家族の認知症の症状が進行した場合、そのままにしておくと詐欺などの被害に遭ってしまったり、無用な浪費を繰り返したりするおそれがあります。そのため、早い段階で成年後見制度の利用をご検討ください。

この記事では、成年後見制度の概要・メリット・デメリット・手続きなどについて、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、成年後見制度とは?|法定後見制度と任意後見制度について

「成年後見制度」とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々が契約締結など法律上の意思決定を行うことを助けるために、健全な判断を行う能力のある人をサポート役に付ける制度です。

成年後見制度は、大きく「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類に分かれています。

  1. (1)法定後見制度|成年後見・保佐・補助

    「法定後見制度」とは、民法で定められた成年後見制度で、「成年後見」「保佐」「補助」の3つがあります。
    判断能力の低下がもっとも進行しているのが「成年後見」、続いて「保佐」、比較的軽微な場合が「補助」となります。

    3つの法定後見制度の違いについては、以下の表をご参照ください。

    成年後見 保佐 補助
    開始要件 精神上の障害により、事理を弁識する能力を欠く常況にあること(民法第7条) 精神上の障害により、事理を弁識する能力が著しく不十分であること(民法第11条) 精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分であること(民法第15条第1項)
    代理権の範囲 〇 財産管理権(財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についての権限)を有する(民法859条) △ 家庭裁判所が審判により、特定の法律行為について代理権を付与する場合がある △ 家庭裁判所が審判により、特定の法律行為について代理権を付与する場合がある
    同意権 × 無い ○ 法律上定められた財産上の重要な行為(民法第13条第1項所定の行為)について同意を得なければ被補佐人は当該法律行為ができない △ 法律上定められた財産上の重要な行為(民法第13条第1項所定の行為)のうち、被補助人の同意があり、審判で定めた法律行為をするに際して同意権を有する
    取消権 ◎ 日常生活に関する行為以外について取消できる ○ 民法第13条第1項所定の行為について取消権あり △ 民法第13条第1項所定の行為のうち、家庭裁判所が審判により、特定の法律行為について取消権を付与する場合がある
  2. (2)任意後見制度|契約による後見

    「任意後見制度」とは、被後見人と後見人の間で契約を締結し、被後見人の判断能力が低下した際に、後見人に対して被後見人のために法律行為をする代理権を与えることを合意する制度です。
    判断能力がしっかりしているうちに、あらかじめ任意後見人を指定しておくことで、判断能力が低下した際にも、信頼できる人に財産管理などを任せられるメリットがあります

    任意後見人には、一部の欠格者(任意後見契約に関する法律第4条第1項)を除いて、基本的に誰を選任しても構いません。
    親族のうち親しい方・信頼できる方でもよいですし、弁護士などの専門家を選任することも可能です。

2、成年後見制度を利用すべき主なケース

成年後見制度は、本人の判断能力が低下した場合に加えて、あらかじめ判断能力の低下に備えたい場合にも活用できます。

以下では、成年後見制度を利用すべき主なケースを紹介します。

  1. (1)認知症の兆候が出てきた場合

    認知症による判断能力低下への対策は、成年後見制度がもっともよく活用される場面の一つといえるでしょう。

    すでに認知症がかなり進行している場合は、法定後見制度である成年後見の開始を申し立てることが考えられます。

    一方、認知症の程度がそこまで深刻ではない場合でも、保佐や補助を申し立て、またはあらかじめ任意後見契約を締結することが有効な認知症対策となります
    認知症の進行度に応じて、適切に本人をサポートする体制を整えることも、成年後見制度のメリットの一つです。

  2. (2)事故などにより意識不明となった場合

    交通事故で植物状態となってしまったケースなどでは、突発的にやむを得ず、成年後見制度を利用せざるを得ない場合もあります。

    たとえば法定後見制度である成年後見については、本人以外に以下の者が後見開始を請求できます。

    • 配偶者
    • 四親等内の親族
    • 未成年後見人
    • 未成年後見監督人
    • 保佐人
    • 保佐監督人
    • 補助人
    • 補助監督人
    • 検察官


    本人による請求が困難な場合は、家族・親族の方が適宜、家庭裁判所への請求を行ってください。

  3. (3)任意後見は将来に対する備えとしての利用も有効

    今のところ判断能力に全く問題ないとしても、元気なうちに任意後見契約を締結しておくことは、将来の老後に向けた備えになります。

    任意後見について関心をお持ちの方は、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

3、成年後見制度のメリット・デメリット

成年後見制度には、認知症対策などとして多くのメリットがある反面、万能というわけではありません。
成年後見制度のメリットを享受しつつ、デメリットを緩和するためには、ご自身の置かれている状況やご希望に合わせた工夫が必要となります。

  1. (1)成年後見制度の主なメリット

    成年後見制度のメリットの一つは、信頼できる人に財産の管理を任せられる点です。

    判断能力が低下した状態では、本人の判断により契約締結などの法律行為をすると、悪徳業者にだまされたり、明らかに不必要な物を購入したりして、大きな損失を被ってしまう事態になりかねません。
    成年後見制度を利用すれば、健全な判断能力を有する人に判断を任せられるので、このような心配が少なくなります。

    また、いったん契約締結などの意思表示を行ってしまった場合でも、成年後見制度を利用していれば、その意思表示を取り消せる可能性があります

  2. (2)成年後見制度の主なデメリット

    成年後見制度のデメリットの一つとして、後見人などに支払う報酬が発生する点が挙げられます。
    任意後見契約を締結し、親族などに無報酬で後見を依頼する場合にも、任意後見監督人に対して支払う報酬が発生するので注意が必要です。

    また、特に法定後見制度については、制度内容が民法で厳密に定められているため、認知症対策を状況に合わせて柔軟に設計することが難しいというデメリットがあります
    柔軟な認知症対策を行いたい場合には、任意後見制度を利用したり、他の手法と組み合わせたりする必要があるでしょう。

4、成年後見制度を利用する際の手続き

最後に、成年後見制度を利用する際の手続きについて解説します。

利用の手続きは、法定後見制度と任意後見制度で異なります。
手続きについてわからない点がある場合は、弁護士にご相談ください。

  1. (1)法定後見制度の場合|家庭裁判所に請求する

    法定後見制度である成年後見・保佐・補助の3つについては、家庭裁判所に対する請求によって開始されます。

    請求を受けた家庭裁判所は、書類を精査することに加えて、親族の意向なども聴取しながら、開始要件の有無について審査を行います。

    前述の各開始要件を満たしていると家庭裁判所が判断した場合、成年後見・保佐・補助を開始する旨の審判がなされます。
    審判の内容は当事者や利害関係人に告知され、その後2週間の即時抗告期間を経て確定します。

    成年後見・保佐・補助開始の審判が確定した後は、成年後見人・保佐人・補助人が、それぞれの職責に従って本人をサポートします。

  2. (2)任意後見制度の場合|任意後見契約を締結する

    任意後見制度を利用する場合、まず任意後見契約を締結する必要があります。

    任意後見契約の内容は自由に定められますが、必要十分な内容がきちんと盛り込まれるように、弁護士にドラフトの作成を依頼するのがよいでしょう

    なお、任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によって締結する必要があります(任意後見契約に関する法律第3条)。
    公正証書の作成後、公証人から法務局に対して後見登記の依頼が行われ、任意後見契約が登記されます。

    その後、本人が精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分な状況となった場合には、以下のいずれかに該当する者の請求により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します(同法第4条第1項)。

    • 本人
    • 配偶者
    • 四親等内の親族
    • 任意後見受任者


    任意後見監督人は、任意後見人が適切に職務を行っているかどうかを監督する役割を果たします。

    任意後見監督人の選任後、任意後見人は本人の代理人として、本人のために法律行為をすることができるようになります。

5、まとめ

成年後見制度は、認知症になってしまった本人を保護するため、また将来の認知症に備えるために大きな効果を発揮します。

法定後見の請求や、任意後見契約の締結を行う際には、弁護士に手続きについてのアドバイス・サポートを依頼するのがスムーズです。

ベリーベスト法律事務所は、認知症対策としての成年後見制度の利用に関するご相談を随時受け付けております。

認知症対策にご関心をお持ちの方や、ご家族が認知症にかかってしまった方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスへ一度ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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