合意書を取り交わしていたのに違反された! 違約金の請求方法は?

2020年07月03日
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合意書を取り交わしていたのに違反された! 違約金の請求方法は?

たとえば配偶者が過去に不貞行為を働いたものの、双方が再び婚姻生活の再構築を望んだ場合、「合意書」を取り交わすことで再発防止を約束させることがあります。

そもそも合意書とは、双方が話し合いの結果、合意したこと遵守することを書いた書面を指します。
そのため、民法上の不貞行為には該当しない、「会っただけ」、「ご飯を食べただけ」のケースでも、請求可能です。たとえば「二度と会わないこと」と記載しておき、それに違反すれば違約金は請求できるでしょう。

原則、合意書に違約金に関する記載がある場合は、違約金を請求してもよいということになります。
ただし、請求可能な違約金の金額が大きすぎる場合は、裁判などで争うことになれば、妥当な金額に減額されたり、無効となることもあります。金額の妥当性及び有効性は個別に判断されることになるでしょう。

1、合意書に「違約金」の記載があれば違約金の請求可能

たとえば配偶者が過去に不貞行為を働いたものの、双方が再び婚姻生活の再構築を望んだ場合、「合意書」を取り交わすことで再発防止を約束させることがあります。

そもそも合意書とは、双方が話し合いの結果、合意したこと遵守することを書いた書面を指します。
そのため、民法上の不貞行為には該当しない、「会っただけ」、「ご飯を食べただけ」のケースでも、請求可能です。たとえば「二度と会わないこと」と記載しておき、それに違反すれば違約金は請求できるでしょう。

原則、合意書に違約金に関する記載がある場合は、違約金を請求してもよいということになります。
ただし、請求可能な違約金の金額が大きすぎる場合は、裁判などで争うことになれば、妥当な金額に減額されたり、無効となることもあります。金額の妥当性及び有効性は個別に判断されることになるでしょう。

2、違約金の請求方法

次に、不倫相手への違約金を請求する方法を解説します。

  1. (1)合意書の内容を破った証拠を確保する

    まずは、合意書に違反したことが確かである証拠を集めましょう。
    たとえば「LINEやメール等でもやり取りをしない」と取り決めてある場合は、二人がメッセージをやり取りしているスクリーンショットなどが有効となります。

    「二度と不貞行為をしないこと」であれば、不貞行為に及んだことが明らかとなる証拠を集めましょう。二人が会っていた場面の写真や、メールのやり取りを写真に撮っておくことも客観的証拠となりますので、後日証明に役立つでしょう。

  2. (2)不倫相手に内容証明郵便で請求書を送付する

    証拠を確保したら、不倫相手に対して、配達記録付きの内容証明郵便で請求書を送付しましょう。その際に証拠を添付する必要はありません。

    配達記録付きの内容証明郵便は、日本郵政が提供する郵便サービスのひとつです。
    送付した日時と内容、送付先と送付元を、日本郵政が写しを保管することで証明してくれます。

    内容証明郵便自体に、法的な拘束力は一切ありませんが、請求を受け取っていないという水掛け論を防止する役割と、心理的プレッシャーを与える役割があります。

  3. (3)電話や面談等で交渉

    内容証明を送付しても、相手が支払う意思を示さないときは、電話や面談などで交渉することとなります。

    ただし、相手が合意内容に違反したことを認めていない、絶対に支払わないなどの強硬な姿勢を貫いているときは、弁護士にご相談ください。
    弁護士は、あなたの代理人としてあなたの代わりに請求することも可能です。弁護士という法律家が入ることで相手方はプレッシャーを感じることとなり、訴訟を見据えて強気の交渉ができるでしょう。

  4. (4)少額訴訟や訴訟の申し立て

    代理人弁護士やご本人による請求にも応じない場合は、訴訟等の法的手続きに移行します。その際は、双方の署名捺印がある合意書や、違反をしたことが明らかな証拠が必要となります。あらかじめ用意しておきましょう。
    訴訟等に移行する場合は、弁護士に交渉を一任することを強くおすすめします。

    訴訟等で下された判決には強制力があります。
    もし相手側がそれでも従わなければ、財産の強制執行等が可能となります。

  5. (5)再度合意書を取り交わす

    違約金を受け取ったら、再度合意書を取り交わしましょう。
    その際は、法的に隙がないように、再度不貞行為に及ばないように、細心の注意を払っておく必要があります。
    合意書に不備がないよう、可能な限り弁護士に作成を依頼することをおすすめします。

3、違約金ではなく不貞慰謝料を請求することも可能

違約金について合意書に記載していないなどの理由で、違約金を請求できないことは少なくありません。その場合は、冒頭でご紹介した事件のように、双方で話し合って違約金を決定することがあります。

もし、配偶者が二度と不倫をしないという内容の合意書があったものの、違約金についての記載がない場合、たとえ違約金を請求したとしても無視をされてしまうケースが少なくありません。

その場合、配偶者の不貞による違約金は請求できなくても、不貞の慰謝料の請求が可能となることがあります。請求する相手は不倫をした当事者です。
不倫をした配偶者だけではなく、不貞相手だけに請求することもできます。その場合は、不貞行為に該当する行為があったかどうかを明らかにする必要があります。
第三者が見ても不貞行為があったことがわかる証拠、たとえば二人が一緒にいるところを移した写真や二人がやり取りしたメールを写真に収めた客観的証拠を慎重に集めなければなりません。請求する側が不貞の事実を証明する必要があるからです。

その上で、不貞相手に慰謝料を請求します。不貞行為の慰謝料の相場は100万円程度から200万円程度と幅はありますが、再び不貞行為に及んだ罪はしっかりと償ってもらいましょう。慰謝料を請求する場合は、交渉、調停、裁判と様々な請求手続きがありますので、まずは専門家である弁護士にご相談ください。

なお、不貞行為の慰謝料は、不貞行為を知ってから3年以内に請求しなければ消滅時効が成立してしまいます。早めに対応することを強くおすすめします。

4、不貞が原因で離婚した場合の離婚慰謝料は不貞相手に請求できない可能性も

一度ならず二度も不貞行為に及ばれたら、離婚したいと考える方も少なくありません。その場合は、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求可能です。なぜなら、不倫はひとりではできません。不倫をした配偶者とその相手は、共同不法行為をしたとして、同じだけ不貞慰謝料を支払う義務を担うことになるためです。

ただし、離婚に伴う慰謝料については、原則として配偶者にしか請求できません。平成31年2月19日に最高裁判所が、不貞行為によって離婚した場合でも、不貞行為の相手は離婚に関する慰謝料は特段の事情がなければ支払う必要はないとしています。特段の事情とは、夫婦関係を破壊すべく不貞相手が妨害等を行うこととされています。つまり、普通の不倫であれば、不倫相手に離婚したことに関する慰謝料は請求できないと解釈されたのです。

それでも、前述のとおり不貞行為に及んだことに関する慰謝料「不貞慰謝料」は請求可能です。離婚に伴う慰謝料については、不倫相手ではなく配偶者に請求可能なので、請求準備を進めておきましょう。

5、違約金の請求をする前に弁護士に相談を

過去に不倫が発覚し、合意書を取り交わしたにもかかわらず再び不倫関係を結んだ不倫相手はあなたに強い悪意を持っている危険性があります。ご自身で請求しても、取り合わず無視し続けるなどの不誠実な対応をする可能性は高いでしょう。また、合意書の内容に不備があるなどと言って支払いを拒否するケースも考えられます。

このように、不倫相手が誠実に対応しない、連絡を無視するなどの悩みを抱えている方は、諦めずに弁護士にご相談ください。状況に応じて、最適な対処法を提案いたします。

合意書の内容を問わず、不貞行為に及んでいるのであれば慰謝料の請求も考えられます。

  1. (1)違約金請求の成功確率が高まる

    弁護士に相談する1つ目のメリットは、「違約金請求の成功確率」が高まることです。合意書に問題がなければ、訴訟等を視野に入れた交渉を行います。個人の請求に応じなくても、弁護士の請求にはすんなりと応じるケースも少なくありません。

    交渉で支払いに応じなければ、訴訟を提起することも可能です。訴訟等で支払い判決が出たにもかかわらず支払わなければ、弁護士が速やかに強制執行等の手続きに着手します。

  2. (2)再発防止策を講じることができる

    弁護士に相談する2つ目のメリットは、再発防止策を講じることができる点です。再度の不倫に関わらず再び婚姻関係を構築する場合は、二度と不倫しないように約束させてそれを書面に残しておくことが重要です。
    法的に有効かつ不備のない合意書を作成することは再発の抑止力となります。それを弁護士が作成したとなるとその効果はさらに高まるでしょう。

    弁護士は、違約金の請求だけでなく、将来の安心も求めている方のお力になれます。

6、まとめ

不倫をされてしまったケースに限らず、一度した約束を破られてしまうことは非常につらく悔しいものです。そのようなとき、合意書に違約金の記載があれば、相手に違約金を請求できる可能性があります。

相手側に違約金を請求したいとお考えであれば、まず弁護士にご相談ください。その際には、取り交わした合意書や不倫の証拠、これまでの時系列をまとめたメモなどがあると相談する際にも限られた時間を有効に活用できます。

弁護士は、違約金の請求に対応するだけでなく、離婚する場合は離婚に関するさまざまな交渉、離婚しないのであれば再び婚姻関係の構築に向けた合意書の作成も可能です。

ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスでは合意書の内容や違約金についてのご相談も歓迎しております。まずはご連絡ください。あなたにとって最適な解決策を提案します。

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