モラハラでの離婚は証拠が決め手? 証拠の集め方や離婚までの手続き方法を解説

2019年10月24日
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モラハラでの離婚は証拠が決め手? 証拠の集め方や離婚までの手続き方法を解説

配偶者のモラハラに悩みつつ、子どものためにと我慢を続けている方は少なくないでしょう。千葉市では、千葉県男女共同参画センターで男女問わずDVなどの相談ができる窓口を設けています。

もちろん、どのような理由があったとしても、相手の尊厳を傷つける態度や発言は許されません。モラハラを甘んじて受けていると、子どもも「人を激しく罵倒しバカにしてもいい」といったモラハラ行動を無意識に模倣してしまう可能性もあります。いびつな夫婦関係を続けるより、離婚を選択して健全な人間関係を取り戻すほうが、子どもの健やかな成長には大切なことかもしれません。

ただし、相手側が離婚を拒否する場合、離婚までの道のりは簡単なことではないでしょう。裁判離婚となれば証拠が必要となるためなおさらです。そこで本コラムでは、モラハラを理由に離婚をしたいケースで必要となる証拠や、慰謝料を請求する上でのポイントなどについて、千葉オフィスの弁護士が解説します。

1、モラハラで離婚したいときにやるべきこと

モラハラとは、モラルハラスメントの略称であり、暴言などによる精神的な虐待を指します。夫だけがモラハラをするわけではなく、妻からのモラハラも問題になっています。

具体的には「お前はバカだ」「黙って言うことを聞けばいいんだ」「どうしようもないやつだ」など相手の人格を否定する言動や、脅すような態度で相手を自分の思うようにコントロールし、支配します。経済的な自由を与えない、人間関係を制限するといったことも度が過ぎればモラハラに該当する可能性があります。

自分の人格を否定する相手とともに暮らすことは、耐えがたい精神的ストレスとなります。このような関係性が続いているのであれば、離婚を考えることも不思議ではないでしょう。

モラハラを理由に離婚を切り出しても、相手が逆上する、また離婚を拒否するといった場合、どのように対処したらよいのでしょうか。

  1. (1)モラハラの専門機関に相談する

    実は、自分がモラハラを受けている自覚がない、また相手もモラハラをしている自覚がないケースは少なくありません。家庭内のふるまいというのは、外から見えないため、その家庭だけでの閉じた常識となっていることがままあります。たとえば、互いに「自分が至らないから」「相手の不手際を指導している」という認識を持っているケースが代表的でしょう。

    しかし、その実態が過剰にしかりつけたり懲罰的な態度で相手を萎縮させたりしているとしたら、健全な家族関係や心身の健康を脅かす原因になりかねません。

    あなたが「これはモラハラ? でも違うかも?」と悩んでいるのでしたら、まずやるべきことは専門機関への相談です。各自治体に置かれている男女共同参画センターの女性相談窓口や弁護士などの専門機関で状況を話してみてください。モラハラを自覚するには、第三者の介入が有効であるケースが多いものです。モラハラ加害者自身が、親から受けてきたモラハラから影響を受けているということもあります。

    もしも、共に専門機関のセミナーやカウンセリングを受け、互いを尊重し合える夫婦を目指すことができれば、婚姻関係を継続することも一案かもしれません。

  2. (2)モラハラの証拠を集める

    専門機関の相談員から見てもあなたの配偶者によるあなたへの言動はモラハラに該当し、関係改善は難しいとなれば、離婚に向けてモラハラの証拠を集めましょう。

    モラハラが原因の場合、相手側が離婚に合意しないケースが多いものです。そして、原則的に離婚は、夫婦が合意していなければできません。そこで、相手側が離婚を拒否したとしても裁判を通じて離婚が認められる、民法第770条第1項に定められた「法定離婚事由」に該当すると考えられる証拠を確保しておくのです。

    なお、モラハラは行為内容によって、5つある法定離婚事由のうち「悪意の遺棄」、または「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。たとえ話し合いで離婚できなくても、裁判であなたが主張する法定離婚事由が認められれば、裁判によって離婚することができます。また、相手に法定離婚事由があることが認められれば、慰謝料請求も可能となります。

    ただし、裁判官に理解してもらうには、客観的な証拠が非常に重要です。

    具体的には、いつ・どこで・誰が・どのように行動したのかが示されている必要があります。ただし、収集方法によっては、プライバシーの侵害などで逆に訴えられる可能性もあるため、できれば事前に弁護士に相談することをおすすめします。

  3. (3)モラハラの証拠の具体例

    裁判で認められる証拠とは、合法的な手段で集めたものであることが前提です。
    日常生活の中で以下のような証拠を集めておきましょう。

    ●音声データ
    暴言の音声データや動画データなどは客観性が高く、証拠となりえます。ICレコーダーやスマホの録音機能などをすぐ起動できるよう、常時手元に用意しておきましょう。

    ●手書きの記録
    日記などに暴言などの記録を残す際は、日付や時刻がわかるようにして、できる限り継続した記録を残しましょう。その日にあったことも併せて控えておくと証拠としての信頼性も高まります。

    配偶者から謝罪文や反省文を求められ、書いた事実があればそれもコピーして残しておいてください。

    ●メールやSNSの記録
    配偶者からのメールやSNSのメッセージに、モラハラに該当する内容が含まれている可能性もあります。会話や投稿は後から本人に削除されるケースは少なくありません。会話や投稿があった日時が明確にわかるようにしたうえで会話を保存するか、印刷やスクリーンショット画像を保存・印刷してください。

    ●行政や警察、病院との相談記録
    モラハラについて行政や警察などに相談していた場合には、受付記録や聞き取り記録なども証拠となりえます。証拠として記録をコピーさせてほしいと依頼してみましょう。そのほか、心療内科などで診療を受けた場合には、診断書を出してもらってください。診断書も証拠となりえます。

    これらの証拠を配偶者に発見されると、破棄される可能性が高いと考えてください。あらかじめクラウドサービスなどにデータのバックアップを保存したり、相手側と接点がない信頼できる知人に定期的に預けたりするなど対策してください。弁護士に依頼しているならば、保管方法を相談したほうがよいでしょう。

2、モラハラによる慰謝料請求は可能か

モラハラ被害を受けた側は、相手へ慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料の金額は、モラハラの態様、本人の受けた苦痛や被害の度合いに左右されます。また、相手側の資力によっても受け取れる金額は変わることになるでしょう。慰謝料請求を検討するのであれば、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば、慰謝料請求だけでなく財産分与や養育費など、離婚にまつわるお金の問題をできるだけ早期に解決し、将来に持ち越さないような解決を目指します。証拠についても的確なアドバイスを行えるでしょう。

3、モラハラ離婚の進め方

まずは話し合いによる協議離婚の成立を目指すことが第一の目標です。
そこで話がまとまらなければ家庭裁判所での調停、それも不調に終われば裁判に進めることとなります。

  1. (1)協議離婚

    夫婦の合意によって離婚するケースです。

    離婚に先立ち、財産分与や子どもの親権、養育費などの諸条件を取り決めて、合意する必要があります。住宅ローンの返済中であれば、どちらが住むのか、また今後の返済はどうするのかなどを検討する必要があります。状況によっては売却する選択肢もありえるでしょう。

    モラハラをする配偶者は、相手が自分を怒らせるのが悪いと考えていることが多いものです。結果、あなたからの離婚の申し出に激高するケースも少なくありません。多くの場合、自分だけで交渉することは非常に難しいでしょう。

    そこで、協議離婚を目指す段階から、弁護士に交渉を依頼し、自分は直接相手と話さないというのも一案です。精神的ストレスも軽減されますし、相手も第三者に対しては冷静に話を聞く可能性が高まります。

    もし協議離婚が成立した場合は、慰謝料や養育費など取り決めたことを離婚協議書にして、可能な限り強制執行認諾約款入り公正証書にしておくことをおすすめします。

  2. (2)調停離婚

    話し合いで合意に至らなかった場合は、家庭裁判所による調停離婚を目指します。日本の法律上、調停前置主義を採用しているため、離婚訴訟を行うためには事前に調停を行っている必要があります。

    調停の申し立ては、相手の居住地を管轄する家庭裁判所に「夫婦関係調整調停申立書」を提出することによって行います。申立書には、希望する慰謝料、養育費の金額などの条件を記載することができます。

    調停では、家庭裁判所の調停委員が中立の立場で双方の話を聞きます。夫と妻はそれぞれ個別に調停室に呼び出され、調停の初回、及び調停成立時を除き原則として夫婦が顔を合わせることはありません。一切顔を合わせたくないということであれば、理由を説明し、裁判所に配慮してもらうこともできます。調停の話し合いによって、慰謝料や養育費の額に合意ができ、相手が離婚を受け入れた場合は、調停離婚が成立し、家庭裁判所において「調停調書」が作成されます。

    調停調書は、公的な書類です。万が一、ここに記載された慰謝料や養育費が支払われない場合は、調停調書を根拠として、相手の財産を差し押さえる手続きが行えます。

  3. (3)裁判離婚

    調停での話がまとまらない、または家庭裁判所から調停の呼び出しに相手が応じない場合など、調停が不調になってしまった場合は、裁判を起こすこととなります。

    裁判では、判決が下るまでは通常1年以上の月日を要する長期戦となります。訴状の作成、口頭弁論での主張の仕方、適切かつ効果的な証拠提出の方法なども、弁護士のサポートが必要となるでしょう。

4、まとめ

モラハラを理由に離婚するのであれば、弁護士に相談し、モラハラ行為を立証するための証拠を集めましょう。また、離婚交渉も弁護士に依頼することをおすすめします。モラハラをしてきた相手と対等に対話すること自体が、困難を極めると予想されるからです。

弁護士であれば、財産分与、養育費や慰謝料の相場も踏まえ、あなたが不利にならないように交渉することができるでしょう。また調停や裁判において、弁護士の知見はあなたの力強いサポートとなります。まずはひとりで悩まず、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスで相談してください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています