子ども3人分の養育費はいくらが相場? いつまで支払い続ける?
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千葉県千葉市は県庁所在地で、日本のなかでも中心に位置する中心都市です。千葉県庁が公表する「令和3年人口動態統計の概況(確定数)」や、千葉市役所「千葉市保健統計(令和3年統計)」のデータによると、令和3年、千葉県内における離婚件数は9011件で、うち千葉市では1395件でした。
離婚が成立した方のなかには、その後の生活や養育費の問題でお困りの方もいるでしょう。特に、離婚して子どもの養育費を払うことが想定される場合、いくらをいつまで支払えばよいのか、自身の生活が成り立つのかなど、さまざまな不安が頭をよぎります。
養育費については誤解が多く、「女性ならば受け取れる」「面会できなければ支払いはしなくてもよい」と思い込む方もいるようです。しかし、間違った知識は子どものためにならず、大きなトラブルに発展しないとも限りません。
本コラムでは、「子どもが3人いて離婚」というケースでの養育費に着目し、養育費の算定根拠や支払期間、注意点など、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。
1、養育費とは
養育費とは子どもを養育するために必要な費用の総称です。内訳としては、教育費、医療費、食費、住居費などが考えられます。
別れた配偶者の生活費ではなく、「あなたと別れて暮らす子ども自身があなたと同等の生活レベルで育つために必要な費用」なのです。
親には子どもを扶養する義務があり、離婚によってどちらかの扶養義務が消滅するわけではありません。たとえ親権を放棄しても、自己破産していたとしても、養育費の支払い義務は残ることを忘れないようにしてください。
状況によっては、子どもとの面会がかなわないケースもあるでしょう。
しかし、この場合でも「親権がなく子どもと面会できないのだから養育費を支払う義務はない」との主張は通りません。
2、養育費と慰謝料の関係
離婚原因が自身の不貞行為(不倫)や暴力などにある場合、元配偶者から慰謝料を請求されることがあります。離婚の際に発生するお金であるためか、「養育費を支払うのだから慰謝料は払いたくない」などと主張し、養育費と慰謝料を混同してしまう方がいるようです。
また、不貞をしていた相手側が親権を得たケースでも、「相手のせいで離婚したのにお金を払いたくない」と養育費の支払いを拒もうとするケースがあります。
しかし、次のように、養育費と慰謝料はまったく別のお金です。
子ども自身の「扶養される権利」にもとづく請求
慰謝料
配偶者の精神的苦痛に対する金銭的な償い、損害賠償請求
つまり、これらを同時に請求されたら、いずれも支払う必要があるというわけです。
このほかにも、財産分与が発生することもあるでしょう。
3、養育費を支払わないとどうなる?
日本では養育費を踏み倒す事例が多いといわれているため、「自分も何とか支払わなくて済む方法はないか」と考えることがあるかもしれません。
確かに養育費の不払いに対する罰則はありませんが、裁判や調停で養育費の金額を定めた場合は、裁判所からの履行勧告(支払いの指示)や強制執行(給与や預金の差し押さえ)などが行われる可能性があります。
また、養育費が子どものためのお金であるという意識が浸透しつつあるのか、養育費の不払いに対する世間の目は厳しくなっています。元配偶者から共通の知人・友人などに漏れ伝わり、ご自身の信用を傷つけてしまうことも考えられます。
4、養育費の算出方法
養育費は話し合いによって金額を決めることができます。
しかし、審判や裁判に発展した場合、最終的には家庭裁判所が判断します。その場合、「養育費算定表」という資料を用いて決めるケースがほとんどです。
算定表は夫婦の年収や子どもの人数、年齢などを元に作成されており、機械的に判断されることも少なくありません。子どもが3人いる場合は養育費の額も高額になる傾向にあります。
ただし、必ずしも算定表通りに決まるわけではありません。
親の介護や身体障害など、特殊な事情があれば考慮されます。
5、子ども3人の場合の養育費の計算
では、子ども3人の場合の養育費はいくらになるのか、具体例で確認してみましょう。
- 子ども3人は全員14歳以下
- 妻が子ども3人の親権者となり夫が養育費を支払う
- 妻はパート収入が100万円、夫は正社員として400万円の稼ぎがある
上記条件で裁判所が参考にしている養育費算定表に当てはめると、夫が支払うべき養育費は月々6~8万円が相場です。
しかし、子どもの条件は同じでも、夫婦がともに400万円ずつ稼いでいたようなケースであれば、支払うべき養育費は月々2~4万円に減額されます。
このように、養育費は条件によってかなり異なります。各家庭の事情も考慮されるものです。
詳しく知りたい方は弁護士に相談するとよいでしょう。
6、養育費はいつまで支払う?
令和4年4月1日、成人年齢が18歳に引き下げとなりましたが、養育費は子どもが20歳になる月までの支払いが一般的です。
ただし、法律によって「○歳まで」というように一律に決まっているわけではありません。
最終的には、子どもに対してどこまでしてあげられるか、どのような進路に進んでほしいのかなど、個別の事情によって判断されることになります。
ここでは、「20歳の原則」に該当しないケースを紹介します。
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(1)20歳を超えて支払うケース
20歳を超えて支払うケースで主に考えられるのは、子どもが大学に通う場合です。
文部科学省の統計データ「令和4年度 学校基本調査(確定値)」によれば、令和4年の大学(学部)進学率は56.6%ですので、大学卒業まで養育費を支払うケースは十分想定できます。
しかし、誰もが大学に進学するわけではありません。
したがって、必ずしも卒業まで養育費の支払い義務があるわけではなく、両親の経済力や学歴、社会的地位なども含め総合的に判断されます。
ほかには、20歳を超えているが病気や障害で子どもの自立が困難など、特殊な事情がある場合も考慮されることがあります。 -
(2)養育費の対象とならないケース
一方、次のようなケースでは養育費の対象外とされることが多くなります。
- 未成年の子どもが高校を卒業して働き始めた
- 成人の子どもがフリーターやニートで自立できていない
- 大学院や留学の費用
未成年であっても、就職して自立できるのなら養育対象とはなりません。
反対に、フリーターやニートで自立できていなくても、成人していれば本人の責任という側面があるため、親が養育する義務はありません。
大学院や留学もプラスαの教育にあたるため、養育費に含めることは通常はできません。
もちろん、子どものために任意で支払う分には問題ありません。
7、養育費の減額請求はできる?
子どもの養育費は義務とはいえ、自身の生活に支障がでる状態で支払いを続けていくことはできません。事情によっては相場よりも減額できることがあります。
具体的には次のようなケースです。
- 自身が失業や入院などで収入が減った
- 元配偶者が転職や起業などで収入が上がった
- 元配偶者が働けるのに働いていない
- 元配偶者が再婚し、経済力のある再婚相手と子どもが養子縁組をした
すでに養育費の支払いが始まっている場合でも、事情が変われば減額を求めることは可能です。
生活が苦しい場合や、金額に納得ができないときは弁護士に相談しましょう。
8、養育費を支払うときの注意点
養育費についての決めごとで注意したいことは、内容を文書に残しておくことです。
支払う側としては「文書なんかに残しておいたらこちらが不利になるのではないか」と感じるかもしれませんが、実はメリットも大きいのです。
口約束だと、「言った、言わない」のトラブルや、追加で請求されてしまうリスクがありえます。相手によっては不当に請求される可能性は否定できないため、きっちりと文章で残しておくことを強くおすすめします。
養育費については最低限、「金額」「支払期間」「支払方法」について決めておきましょう。ほかにも、子どもの入院や入学金などまとまった費用が必要になることがあります。
突然、請求されて慌てないように、子どもの成長に応じて必要となる費用をよく考えておきましょう。
なお、今後のトラブルを避けて適正な養育費を支払うためには、弁護士などを通じて文書にしておくことがおすすめです。
9、まとめ
子ども3人の養育費支払い義務がある方に向けて、養育費の概要を解説しました。
養育費は他の誰でもない、大切な子どもたち自身の成長に必要不可欠なものです。
しかし、養育費を支払う側に無理がある金額を決めてしまうと、結局は支払いが滞り、その結果、面会もできなくなってしまうなど、子どもたちにとってよくない結果になることも考えられます
ご自身の生活や子どもの将来をともに守っていくには、正しい知識を元に適切な養育費の取り決めをすることが大切です。
そのためには、離婚問題に精通した弁護士に相談することが望ましいでしょう。
ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスでは、離婚事件に対応した経験が豊富な弁護士が養育費のご相談をお受けしております。養育費の支払いに不安や疑問をお持ちの方は、お気軽にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています