配偶者のモラハラに悩む方へ!自力で難しい離婚問題解決には弁護士が有効な理由

2019年12月25日
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配偶者のモラハラに悩む方へ!自力で難しい離婚問題解決には弁護士が有効な理由

配偶者からのモラルハラスメント、通称モラハラに悩む方は少なくありません。たとえば、平成29年度の司法統計における妻が離婚を希望する理由の3位に、夫側が離婚を希望する理由ではなんと2位に「精神的な虐待」があげられています。

モラハラによる被害は、最も信頼できるはずの身内からの被害であるため、どこにも相談できないと考えて、自分で無理して解決しようとする方や、あきらめてしまう方がおられます。自分で解決できずモラハラが長期化すれば、精神を病んでしまったり、子どもにも影響が出たりする可能性があります。

今回はモラハラ被害に着目し、弁護士だからこそできる解決法について解説します。

1、モラハラの基礎知識

モラルハラスメントとは、平成10年ごろ、フランスの精神科医が提唱した言葉です。
具体的にはどのような行為を指すのか、モラハラを受けるとどうなるのかについて知っておきましょう。

  1. (1)モラハラとは?

    モラハラはモラルハラスメントの略語です。
    「モラル=倫理や道徳意識」、「ハラスメント=嫌がらせ」と訳されます。
    つまり、モラハラとは、倫理や道徳に反する嫌がらせ、を意味します。

    その言葉どおり、モラハラでは手をあげる、蹴るなどの肉体的暴力は行われません。
    年代や性別、育ってきた環境によって各人が異なる倫理観を有するにもかかわらず、自分の価値観を押し付け、相手を尊重することなく暴言を吐いたり、無視をしたり、相手をおとしめたりする言葉をかけ続けます。
    場合によっては、精神的だけではなく、生活費の自由な使用を認めない等の経済的な圧力を加えるケースもあるでしょう。

    肉体的暴力であれば、ケガをするなど見た目にわかりやすく被害の痕跡が残るので、周りからも当人も気づきやすいものです。助けるための手も差し伸べやすいかもしれません。

    しかし、モラハラは、肉体的暴力が行われないため、周囲からは気づかれにくいだけでなく、加害者本人もモラハラをしている自覚がないケースが少なくありません。
    配偶者に対して言葉や態度によって傷つけ続ける理由は、「愛情から」「相手が至らないから教えてあげている」などと考えています。

    さらに、被害者となっている本人が、「加害配偶者の言うとおり自分が悪いせいだ」と思い込まされてしまうケースも少なくありません。自らがモラハラを受けているとは気が付かないまま精神的に病んでいくことすらあるのです。

    また、モラハラによる被害を受ける可能性がある者は、直接暴言等を受け続けているあなただけではありません。モラハラによって対等さが失われている家族関係を毎日見続ける子どもが受ける精神的影響も計り知れないと考えられます。

    「子どものために」と我慢し続けることが、逆に子どもの将来に悪影響を及ぼすこともあることを知っておきましょう。

  2. (2)モラハラが原因で離婚できる可能性は?

    モラハラを受けていることに気づき、あるいは指摘されれば、離婚したいと考えることは自然なことです。しかし、残念ながら直接的な暴力ではないモラハラについて、立証することが難しいという問題点があります。

    もっとも、民法第770条1項には、相手が拒んだとしても離婚が認められる5つの「法定離婚事由」が定められています。
    モラハラそのものが法定離婚事由として明文化されているわけではありませんが、モラハラと考えられる行為が法定離婚事由に当てはまることを立証できれば、離婚は認められるでしょう。

    たとえば、モラハラが原因で重度の精神的苦痛を受けていて家庭生活を継続するのが難しい、または経済的な圧迫を受けていて配偶者の一方が生活困難な場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に該当する場合があります。
    また、これらの事実が立証できれば、慰謝料請求が認められることもあるでしょう。

  3. (3)調停を考える前にモラハラ被害には別居を!

    モラハラ被害による離婚を考える際にネックとなるのが、子どものことや将来への不安でしょう。モラハラの加害者側がすんなり離婚に合意するケースは非常に少ないこともあり、調停や裁判で争う可能性がある点を忘れてはなりません。
    その間、さらに責め続けられたらと考えれば、離婚を言い出すこともためらうのではないでしょうか。

    そこで、まずはモラハラの加害配偶者から離れる別居という手段も有効です。
    別居を切り出すのに勇気がいると思うかもしれません。また、生活費の心配や、相手に告げずに家をでたら法的に問題があるのではないかという点が気になるところです。

    民法第752条には同居義務が示されていますが、モラハラが原因であれば別居は正当な理由があると考えられます。モラハラがあった事実を立証できれば、同居義務違反になるおそれは低いでしょう。

    また民法第770条1項2号の離婚事由「悪意の遺棄」に関してもモラハラという正当な理由があることですので該当しない可能性が高いと考えられます。

    心配があれば弁護士や公的機関などに相談をした上で行動することをおすすめします。
    あらかじめ相談した上で行動すれば、生活費について心配がある場合、相手に「婚姻費用」の請求を行えます。後日でも請求できますが、早めに対応したほうがよいでしょう。

    ただし、子どもの将来を思い、親権を得たいのであれば、別居によって子どもと離れることは避けてください。裁判で親権を争う際、子どもを主に育てていたという成育環境や実績が重視されるためです。

    また、「子どものためにも相手が変わってさえくれたら」という気持ちもあることでしょう。モラハラの治療については、カウンセリングが有効と考えられます。
    ただし、素直にカウンセリングに通ってくれるケースは非常に少ないようです。心身ともに限界を迎えてしまう前に、距離を置いたほうがよいこともあります。
    まずは第三者に相談してみましょう。

2、モラハラと離婚問題

モラハラが原因で離婚する際の流れや、自分で解決するよりも弁護士に相談するのが有効とされる理由を見ていきましょう。

  1. (1)モラハラで離婚するのは証拠集めが大切

    モラハラを理由にした離婚を成立させるためには外せないポイントがあります。
    それは、モラハラを第三者に立証するに足りる証拠を集めることです。

    あなたがどれほどひどいモラハラを配偶者から受けていたとしても、相手が認めない限り、証拠がなければ第三者からみてモラハラがあったと認定されないからです。

    裁判などになった際には、以下のような証拠が有効とされます。

    有効な証拠の一例
    • 配偶者から受けた言動を詳細に日記に記録したもの
    • 配偶者からきた侮辱的なメール、ラインなど
    • 配偶者の言動を録音や撮影したもの


    証拠を集める際に注意したいのは、相手にバレないようにすることです。
    特に録音、撮影などを行う際は注意しましょう。法的に問題のない証拠を集めるためにも、あらかじめ弁護士に相談しておくことはひとつの手です。

    証拠集めに加えて、心療内科などに通い、診断書をもらっておくと、モラハラ被害を医学的見地から証明することができます。

  2. (2)モラハラによる離婚の流れ

    モラハラが原因で離婚する場合、次のような流れで交渉していきます。

    ① 協議離婚
    夫と妻、当事者同士で話し合って離婚についての話し合いを行う方法です。
    ただしモラハラを受けている関係性を考えると、この方法でスムーズに離婚へ終結するのは難しい傾向にあります。一般的にモラハラをする加害者は離婚したがらないためです。

    もしくは、離婚すること自体には同意したとしても、非常に不利な条件を押し付けられてしまう可能性もあります。したがって、離婚についての話合いの段階から弁護士に依頼して間に入ってもらうこともひとつの手です。

    ② 離婚調停
    協議離婚で話し合いがまとまらない、話し合いをする段階にもっていけない場合は、離婚調停を起こすことになります。
    家庭裁判所に調停を申し立てますが、ここで重要なのがモラハラの客観的な証拠を提示するなどして、調停委員に、モラハラによる被害を受けたことを理解してもらうことです。

    日本は法律上「調停前置主義」をとっているため、調停を行わずに離婚裁判を起こすことができません。話し合いがまとまらないときは不調とすることもあらかじめ考えておきましょう。

    ③ 離婚裁判
    離婚調停においても解決しない場合は、法廷で行う離婚裁判となります。
    裁判になった際は、法律が定める離婚の原因(民法第770条1項)に該当することの証明が必須となります。
    裁判官は法律に基づいて判決を下します。証拠や主張が十分でなければ、単なる夫婦間のコミュニケーション不足と捉えられてしまう可能性は捨てきれません。
    離婚裁判となったら、モラハラ問題に対応した経験が豊富な弁護士に委任することを強くおすすめします。

  3. (3)モラハラ解決には弁護士が有効

    モラハラを解決させるには自分ひとりで交渉したり、知人などに相談したりするよりも、専門的知識を有する第三者である弁護士に相談したほうがよいでしょう。

    まず、調停をスムーズに進めるためにも証拠があったほうがよいです。裁判になれば必須となります。しかし、どのような証拠が有効となるのかを判断することは非常に難しいものです。

    また、離婚には慰謝料請求や子どもの親権、養育費など複雑な問題も発生します。
    モラハラを受けている状態で、ご自身で交渉をすることは非常に大きな負担となります。直接話をすることが難しい状態であっても、弁護士であればあなたの代理人として交渉することができます。

    離婚を視野に入れているのであれば、まずは弁護士に相談してみることを強くおすすめします。

3、まとめ

配偶者からのモラハラによって気が病んでしまいそうと感じながらも、自分からは動き出すことができず悩んでいる方が男女問わず増えています。
できるだけ早くモラハラ加害者から解放され、精神的安定を取り戻すためには、有効な証拠を収集し道筋をたてて解決に望むことが欠かせません。

モラハラ被害に悩み離婚を決意したのであれば、ベリーベスト法律事務所千葉オフィスまでご連絡ください。今後の生活も視野に入れて新たなスタートを切るために、力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています