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孫への生前贈与をスムーズに進めたい! 法律・税務上のポイント・注意点

2021年06月07日
  • その他
  • 生前贈与
孫への生前贈与をスムーズに進めたい! 法律・税務上のポイント・注意点

千葉市のデータによると、2019年中の千葉市内における死亡数は9340人で、前年比563人の増加となりました。なお、死亡率は9.5(人口千対)となっています。

遺産分割トラブルの防止や相続税対策などの理由から、孫に対しての生前贈与を検討するケースがあります。

孫に対する生前贈与は、法律や相続税・贈与税に関するルールに注意して行う必要がありますので、弁護士・税理士に相談のうえで進めましょう。

この記事では、「孫に対する生前贈与」に関する法律・税務上の留意事項を中心に、ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「令和元年合計特殊出生率等(確定数)の統計データ」(千葉市))

1、孫へ資産の生前贈与をするメリット

孫に対して資産を生前贈与することには、「遺産分割時における紛争防止」と、「相続税の節税」という2つの観点からメリットがあります。

  1. (1)遺産分割時における相続人同士の紛争を防止できる

    法定相続人ではない孫に対する資産の生前贈与を行うと、その資産は遺産分割の対象から外れます

    一般的に、相続開始時点で残っている遺産が多いほど、相続人同士の紛争が発生しやすいという傾向があります。

    そのため、法定相続人ではない孫に対する生前贈与によって、あらかじめ相続財産を減らしておくことで、ご自身が亡くなった後で相続人同士の紛争の発生を抑えられる可能性があります。

  2. (2)相続税の節税になる場合がある

    資産を承継した相続人等が支払う相続税は、原則として、相続開始時点で存在する相続財産の総額に、被相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与を受けた財産を加えて計算します。

    相続を見据えて、早めに生前贈与によって孫に資産を移しておけば、その分は相続財産から除外されますので、相続税の金額を抑えることにつながります。

    ただし、生前贈与の際に贈与税がかかるケースがあるので、後述する贈与税対策を適宜活用して、トータルでの課税額を抑える工夫をしましょう。

2、暦年課税制度・相続時精算課税制度とは? 贈与税に関する留意点

孫に対する生前贈与を行う場合、贈与税の課税に注意する必要があります。

贈与税の課税方法については「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つがあり、贈与の金額やタイミングによって、より有利な制度を選択することが大切です。

  1. (1)暦年課税制度を活用して毎年一定額を非課税に

    暦年課税制度とは、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与について、毎年贈与税を課す制度をいいます。

    暦年課税制度が適用される場合、毎年110万円までの贈与財産に対しては「基礎控除」として贈与税が課税されないという特徴があります。

    これを利用して、毎年110万円以内であれば、孫に対して資産を少しずつ非課税で贈与することができます。

    なお、孫に対する贈与税の税率は、孫がその年の1月1日時点で20歳以上かどうかによって、以下のとおり異なります。

    一般税率(孫がその年の1月1日時点で20歳未満)

    基礎控除後の課税価格 税率 控除額
    200万円以下 10%  
    300万円以下 15% 10万円
    400万円以下 20% 25万円
    600万円以下 30% 65万円
    1000万円以下 40% 125万円
    1500万円以下 45% 175万円
    3000万円以下 50% 250万円
    3000万円超 55% 400万円


    特例税率(孫がその年の1月1日時点で20歳以上)

    基礎控除後の課税価格 税率 控除額
    200万円以下 10%  
    400万円以下 15% 10万円
    600万円以下 20% 30万円
    1000万円以下 30% 90万円
    1500万円以下 40% 190万円
    3000万円以下 45% 265万円
    4500万円以下 50% 415万円
    4500万円超 55% 640万円

  2. (2)まとまった金額の生前贈与では相続時精算課税制度を活用

    1年間のうちに大きな金額の生前贈与を行う場合、暦年課税制度では基礎控除額を超えてしまうので、贈与税の課税を免れません。

    この場合、相続時精算課税制度を選択すれば、課税を相続時まで繰り延べることができる場合があります。

    相続時精算課税制度は、原則60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子、または孫に対して財産を贈与した場合に選択できる制度です。

    相続時精算課税制度では、受贈者の選択により、同じ人からの贈与についての贈与税を、「通算2500万円まで非課税」とすることができます(通算2500万円を超えた場合、一律20%の贈与税が課税されます)。

    この制度を利用すると、1年間に大きな金額の生前贈与を行う場合でも、その時点で高額の贈与税が課税されることを回避できます。

    ただし、一度相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者との関係では、今後暦年課税制度に切り替えることは不可となります。

    また、相続時精算課税制度の適用を受けた生前贈与については、相続発生時における相続税の計算上、相続財産の金額に加算されてしまうため、相続税の課税額が増えることになります。

    そのため、暦年課税制度と相続時精算課税制度のどちらが有利か、制度を選択する前に具体的なシミュレーションを行い、充分に検討しましょう。

3、孫への生前贈与を非課税で行う方法は?

孫への生前贈与を、贈与税・相続税の課税を回避しつつ行うことができる制度が、税法上いくつか用意されています。

以下では、各種の贈与税非課税制度の概要について見ていきます。

  1. (1)教育資金贈与の非課税制度

    孫が30歳未満のケースで、直系尊属(父母・祖父母など)から、金融機関との契約に基づき、以下のいずれかの方法により教育資金の贈与を受けた場合には、1500万円分を限度として金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することによって、贈与税が非課税となります。

    1. ①信託受益権を取得した場合
    2. ②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預け入れた場合
    3. ③書面による贈与により取得した金銭等により、証券会社等で有価証券を購入した場合


    教育資金贈与の非課税制度は、現行法上、2023年3月31日までの期間限定です。

  2. (2)住宅取得等資金贈与の非課税制度

    直系尊属から、孫が自己の居住のための住宅用家屋の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合、以下の非課税限度額までは、贈与税が非課税となります。
    なお、住宅取得等資金贈与の非課税制度は、現行法上、2021年12月31日までの期間限定となっています。

    ① 住宅用家屋の新築等に係る対価等の金額に含まれる消費税率が10%の場合

    住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
    2019年4月1日〜2020年3月31日 3000万円 2500万円
    2020年4月1日〜2021年3月31日 1500万円 1000万円
    2021年4月1日〜2021年12月31日 1200万円 700万円


    ② ①以外の場合

    住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
    2015年1月1日〜2015年12月31日 1500万円 1000万円
    2016年1月1日〜2020年3月31日 1200万円 700万円
    2020年4月1日〜2021年3月31日 1000万円 500万円
    2021年4月1日〜2021年12月31日 800万円 300万円

  3. (3)結婚・子育て資金贈与の非課税制度

    孫が20歳以上50歳未満の場合に、結婚・子育て資金に充てるための資金を、金融機関との契約に基づき、以下の方法により直系尊属から一括贈与された場合には、1000万円分を限度として金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することによって、贈与税が非課税となります。

    1. ①信託受益権を取得した場合
    2. ②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預け入れた場合
    3. ③書面による贈与により取得した金銭等により、証券会社等で有価証券を購入した場合


    結婚・子育て資金贈与の非課税制度は、現行法上、2023年3月31日までの期間限定となっています。

4、孫へ生前贈与をする際の法律上の注意点

孫に対して生前贈与を行う場合、相続との関係で、「遺留分」と「特別受益」の2点に留意しましょう。

  1. (1)金額によっては遺留分侵害額請求を受ける可能性がある

    孫に対する生前贈与の金額が多い場合、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた「遺留分」(民法第1042条第1項)を侵害する可能性があります。

    その場合、遺留分の侵害を受けた法定相続人から、孫が遺留分侵害額請求(民法第1046条第1項)を受け、親族同士の紛争が生じてしまうおそれがあります。
    そのため、孫への生前贈与を行う際には、法定相続人の遺留分を侵害しない金額に調整するといったことを考えた方がよいでしょう。

  2. (2)孫が法定相続人の場合は特別受益の持ち戻しに注意

    孫が、養子や代襲相続人としての立場で法定相続人でもある場合には、生前贈与の金額について持ち戻し計算が行われ、孫の相続分が少なくなってしまう可能性があります(民法第903条第1項)。

    相続分の計算における特別受益の持ち戻しには期間制限がありませんので、相続開始から何年前の贈与であっても、持ち戻しの対象になるので注意が必要です。

    特別受益の持ち戻しは、被相続人が別段の意思表示を行うことによって免除することができます(同条第3項)。

    そのため被相続人としては、遺言書などで「孫に対する生前贈与につき、特別受益の持ち戻しを免除する」という意思表示をしておく必要もあるでしょう。

5、まとめ

孫に対する生前贈与は、相続に関する紛争防止や相続税対策の観点から有効な手段のひとつです。

その一方で、贈与税の課税や、相続発生時の遺留分・特別受益との関係で発生するトラブルには十分注意する必要があります。

孫に対する生前贈与などの相続対策は、ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、弁護士がグループ内税理士と連携のうえ、法律・税務の両面から十分な対応が可能です。
孫に対する生前贈与をご検討中の方、贈与契約書の作成方法についてお悩みの方は、一度ベリーベスト法律事務所 千葉オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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